金井工芸が染色に携わったアイテムのボトムス(左)とコート(共に(C)・ISSEY MIYAKE INC・提供)
龍郷町の染色工房「(有)金井工芸」はこのほど、デザイナーの三宅一生が立ち上げたブランド「ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)」の現デザイナー・近藤悟史さんから依頼を受け、コートなどの染色に携わった。2020年秋冬コレクションのアイテム。また、工房での染色風景が月刊情報誌『Casa BRUTUS(カーサブルータス)』11月号に掲載されている。
コレクションの名称は「Making Speaking,Speaking Making」。今回のテーマは土の力に注目した「DORO」で、奄美大島の泥染めを用いたコートなど6~7アイテムを同工房で染色している。
同工房の金井志人さんによると、約20年前に同ブランドから初めて染色の依頼を受けたことを皮切りに染色対象の幅を広げた。創業当時から大島紬で使用される絹糸の染色を伝統的な製法で行うことを大切にしながら、新しい切り口で伝統工芸の良さを伝承する方法を模索してきたという。近年は国内外のアパレルブランドを始めとして、異業種からの依頼が相次いでいるそうだ。
金井さんは「今回は半年以上にわたる打ち合わせのなかで、近藤さんをはじめとしたチームの色に対するシビアさを目の当たりにし、新たな刺激を受けた。国内外の企業やブランドとつながりを広げることで、奄美が持つ文化的な価値を世界に発信することができたら」と期待を込めた。
デザイナーの近藤さんは「土が本来持つ力強さや、茶色でもさまざまな色がある点に着目し、長きにわたりご縁のある金井工芸さんと実際の土を使った取り組みをさせていただいた。染め上がった生地を見た際、細部に宿る色の深みや独特の風合いに感動したことを今でも覚えている」とコメントした。