DNA検査で「ノライヌが捕食」

居住地区でクロウサギの捕食死骸が見つかった徳之島町金見地区(金見崎方向より)
10月13日発見(左)と同14日発見分のクロウサギ死骸(環境省提供)

クロウサギ2匹死骸
徳之島町金見 居住地域で初事例
適正飼養を呼びかけ

【徳之島】先月13、14日、徳之島町金見集落の居住地域内で、国特別天然記念物のアマミノクロウサギ2匹の死骸が相次いで見つかった。付着物のDNA検査など死因を調べていた環境省(奄美群島国立公園管理官事務所)は12日、同検査結果や目撃情報などから、「ノライヌによる捕食と思われる」との見解を発表。住民の居住地域内におけるクロウサギの死亡(滅失)事例は初という。

環境省(同)や徳之島管理官事務所(天城町役場内)によると、先月13日朝、住民が骨と皮だけになった死骸を発見した。同省をはじめ関係機関で現地確認した翌14日朝、約5㍍範囲のほぼ同敷地内で、同日未明までの一夜で新たに捕食されたと思われる2匹目の死骸(一部)が見つかった。

同集落内では、ノライヌと思われるイヌの徘徊(はいかい)が頻繁に目撃されていたという。その同一個体は、同省が同地区の森林内に設置した自動撮影カメラにも記録されていた。同月16日、徳之島保健所の担当者がイヌ用わなで捕獲(飼養管理後・譲渡予定)。同省は、死因特定のため2個体のDNA検査を国立環境研究所に依頼していた。

同省徳之島管理官事務所の福井俊介管理官(26)らよると、いずれもイヌのDNAを検出。死後にイヌと接触した可能性もあるが、いずれも頚椎(けいつい)の粉砕骨折が認められ、頸部に強い力が加わったことを示していると「食肉目的の捕食の可能性」を強調。その上で「集落の居住地域内を生活の場としているノライヌがクロウサギを捕食していたことが考えられる」。再発防止には「放し飼いの禁止など適正飼養を呼びかけたい」。

同集落住民で、徳之島地区自然保護協議会会員の元田浩三さん(66)は「保護対策でクロウサギの生息数は増加傾向にあると思う。3、4年前からは過去になかった交通事故死も発生。イヌやネコについては放し飼いをやめて適正飼養をすべき」と話していた。

ちなみに徳之島における今年のクロウサギ滅失確認数(同省、12日現在)は計33件。死因別は①交通事故15件②イヌ・ネコ捕食各3件③不明―となっている。