献花する(左から)潤井文子顕彰会理事長、島尾伸三さん
奄美にゆかりのある作家・島尾敏雄氏(1917~86年)の命日に当たる12日、奄美市名瀬小俣町の旧県立図書館奄美分館の館長宿舎・文学碑前で2020年度「島尾忌」が開かれた。今年は新型コロナウイルスの影響で例年より参加人数を少なくして11人で行われ、ありし日の島尾氏に思いをはせ、黙とう、文学碑前で献花し、献杯した。
島尾敏雄氏は、1958年から県立図書館奄美分館(県立奄美図書館の前身)の初代館長を務め、75年まで分館長を務めた。奄美に20年間住んだ。代表作に『死の棘』『魚雷艇学生』などがある。妻は作家の島尾ミホ氏。
「島尾忌」は、NPO法人島尾敏雄顕彰会(潤井文子理事長)が主催。長男で写真家の島尾伸三さん(72)、妻で写真家の潮田登久子さん、孫に当たる漫画家の真帆さん(42)、ひ孫の万史郎くん(5)も参列。顕彰会メンバーは役員が参列し、東京など島外の一般会員への参加呼び掛けは自粛した。
潤井理事長はあいさつで「コロナの影響で今年は3月の『ミホ忌』、学校訪問による生徒への島尾文学普及活動、島尾敏雄氏のゆかりの地を歩く計画を取りやめざる得なかった」などと述べた。
島尾伸三さん、潤井理事長が代表で献花。来賓あいさつした県立奄美図書館の日髙京美館長は「今日は、17年間にわたって奄美分館長を務めた島尾氏の功績、遺徳をしのぶことができてうれしく思う。奄美図書館の記念室には多くの著作も残されており、活用してほしい」と話した。
島尾家代表であいさつした伸三さんは、母親のミホさんがよく話していたという「ヒギャ言葉のあいさつ」、よく唄っていたというヒギャ唄の「十五夜の月」を披露。参列した親族もあいさつした。