VR映像制作のため、企画を練る参加者(13日、奄美市名瀬)
奄美クリエイター協会(浜田太会長)は12日、13日の両日、VR(ヴァーチャルリアリティ)動画を活用したプロモーション講座を奄美市名瀬の大正大学「座・ガール」奄美店・なぜまちモーレで開いた。奄美市ICT先進技術取得事業を利用。講師は、㈱コンセント(東京)の渡邊徹さん(37)と、同社の佐々木愛実さん(27)が務めた。参加者はVRの仕組みを学び、実際に動画制作を行うなどして理解を深めた。
当日は写真撮影、映像制作、観光業に携わる事業所11組16人が参加した。
VRとは、視覚やその他の感覚を通じて、模擬体験をできるようにした技術のこと。直訳で「仮想現実」とも呼ばれる。VRの撮影時は180度または360度の静止画や動画を撮影できる専用カメラを、鑑賞時は専用のゴーグルを着用する。近年は医療やスポーツの現場でも活用されはじめ、新型コロナウイルスの影響で現地に行けない場合でも、よりリアルな体感ができる手段として観光分野でも注目度が上がっている。
講師の渡邊さんは同社の実写VR映像制作を専門に活動するチームのリーダー。約6年前からVRを独学で学び始めたといい、エンターテインメントから企業PRなど多業種の映像を手掛けている。また、奄美には約5年前から毎年通っており、移住も視野に入れているという。
渡邊さんはVR映像の魅力を「平面の動画では伝えきれない機微を表現でき、日常の延長線で非日常を体験できる」と評した。
講座では、渡邊さんが手がけた映像をもとに▽制作方法や2D映像との違い▽受動ではなく能動的に鑑賞するコンテンツ▽動画と体験の中間に位置する▽より細部が目につきやすいため編集は丁寧にーなどを説明。また、企画の段階で明確なルールや視聴者の役割設定をする必要があるなどの要点を伝えた。
2日目(13日)の午後は、参加者が2人1組のチームを組み、同市名瀬の商店街を紹介する動画を制作した。
今回の講座を発案した同協会の渡武志さんは「今後は奄美をPRする手段としての活用も想定される。今回の講座がきっかけとなり、クリエイターを通してVRの周知を目指す」と語った。
講座を受講した里村実さん(48)は、写真撮影やWEBデザイン業に携わる。「映像制作時の企画や、撮影時の構図の視点が勉強になった。今後さまざまなシーンで導入されるのでは」と期待した。