県立短大サテライト講座

講義を熱心に聞く参加者たち


亀井勇統教授


塩地洋学長

「自動車リサイクル困難国」問題提起
「知と生きる~明るい未来のために~」

 鹿児島県立短期大学(塩地洋学長)の公開講座「奄美サテライト講座2020 知と生きる~明るい未来のために~」が14日、名瀬末広町のAiAiひろばで開催された。同短大学長の塩地洋教授による講義「南の島における廃車放置問題」
など2講座を公開。高校生からお年寄りまで幅広い世代の約40人が熱心に参加した。

 同短大の奄美サテライト講座は今年で7年目を迎える。今年は奄美市、瀬戸内町で開催。9月実施予定だったが、台風の影響でこの日になった。

 まずは奄美市名瀬出身の生活科学科食物栄養専攻の亀井勇統教授(専門=食品機能科学、活性物質化学)が「医食同源:食べ物は病気を予防できるのか?」を講義した。食物の機能には▽栄養としての働き(一次機能)▽嗜好的な働き(二次機能)▽病気を予防する働き(三次機能)ーがあり、それぞれについて説明。食物は病気を予防する機能を有しており、例としてキャベツから胃腸薬が開発されたこと、魚から機能性物質EPAが開発され、血液疾患になりにくい効果があること、カニやエビの甲羅から抽出した軟骨成分グルコサミンが間接の痛みを和らげることなどを挙げた。亀井教授は「食べ物は薬と同じ。きちんとバランスよく食べていたら予防効果がある。緑黄色野菜に含まれるβーカロテンや、モズクなどの海藻類に含まれる食物繊維が注目を集めているので、ぜひ食べてほしい」と呼び掛けた。

 次に塩地学長(専門=自動車産業の国際比較、新興国企業論)が「南の島における廃車放置問題」を講義した。塩地学長は、フィジーやトンガなどの太平洋島嶼国には日本製の中古車がたくさん輸入されており、それらが適切に解体・リサイクルされず放置されている問題を説明。その理由として▽狭小性:規模が小さく、電炉、精錬炉がない▽遠隔性:海上輸送費が高い▽分散性:離島が多く、廃車回収が困難ーのために解体・リサイクル業が経済的に成立していないことを指摘。このような国を「自動車リサイクル困難国」と命名し、そうした国に自動車を輸出する企業や政府は「持ち帰り責任」を有すると提起した。そして現在新車購入時に納めている「リサイクル預託金」の活用を提案した。現在、同預託金は中古車を輸出する際は輸出業者に還付されているが、これを還付せず、廃車収集時に島嶼国ユーザーに支給することなどを提案しており、経済産業省などに働きかけているという。

 なお、15日にも瀬戸内町立図書館で午後1時から同内容の講座が開催される。