外海離島災害廃棄物広域処理検討委

災害廃棄物の処理方法などについて広域連携の在り方を協議した「外海離島災害廃棄物広域処理検討委員会」

奄美・沖縄の広域処理の在り方協議
大規模災害に備え連携図る
海上輸送法など意見交換

 奄美群島以南の南西諸島の災害廃棄物の広域処理方法などを検討する「外海離島災害廃棄物広域処理検討委員会」(委員長=東京海洋大学渡邉豊教授、31人)が17日、奄美市役所であった。大規模災害時などに発生する大量の災害廃棄物について、政府や自治体、民間が連携し処理することを目指し、今年度末に広域連携処理のための方針をまとめる。

 同委員会は、環境省九州地方環境事務所が事務局となり、有識者や国、奄美、沖縄の自治体代表、海上保安庁、海運会社や廃棄物処理の民間団体などで組織。奄美群島12市町村と沖縄県41市町村の38の有人島を対象に、外海離島の地理的特性などを勘案しながら災害発生時に大量に発生する災害廃棄物について、海上輸送を含めた広域処理の在り方などを検討する。

 初会合となったこの日の委員会では、事務局が奄美群島など外海離島でのごみ処理状況について説明。▽自治体の処理施設規模が小さい▽災害で被災した場合、復旧に時間がかかる▽島内の仮置きによる環境への影響▽島外搬出に伴う海上輸送―などの課題が指摘された。

 環境省九州地方環境事務所によると、奄美、沖縄で、東日本大震災レベルの大規模災害が発生した場合、地域内の年間処理量を上回る災害廃棄物の発生が想定されるという。また、自然公園や世界自然遺産候補地、防衛施設などの面積が多いため、仮置きする用地の確保が困難となり、廃棄物の行き場がなくなる可能性もある。

 さらに、処理が長期化した場合、腐敗による悪臭や土壌汚染、景観阻害などによる風評被害など観光面にも大きな影響を与える可能性があることから、広域連携による早期処理の必要性が指摘された。

 東日本大震災や熊本地震などの際に発生した災害廃棄物を、海上輸送によって広域処理した事例なども紹介された。外海離島の災害廃棄物についても、沖縄・奄美の定期航路や貨物、コンテナ船、台船などを利用する方法などが提案され、①船舶会社との協力体制②廃棄物に応じた輸送体系の構築③荷役設備の確保④漁船・台船の活用⑤行政支援の課題―に取り組む必要が指摘された。

 渡邉委員長は「温暖化などの影響から大型台風の発生が増えており、離島地域でも近い将来、大きな災害が起きる可能性が高まっている。世界自然遺産の候補地となっている奄美・沖縄の自然環境保全のためにも、災害廃棄物の処理は重要な課題。様々な機関が連携し課題解決に取り組める仕組みを構築したい」などと語った。

 同委員会は来年1~2月ごろに沖縄県石垣島で第2回会合を開き、広域連携の方針をまとめることにしている。