特定外来生物「ツルヒヨドリ」防除

ツルヒヨドリを防除する参加者たち
ツルヒヨドリ

環境省、瀬戸内建設業協、町対策委
「まずは知って」「見かけたら連絡して」

環境省奄美群島国立公園管理事務所、瀬戸内建設業協会、世界自然遺産せとうち町対策室が連携して27日、同町勝浦で特定外来生物「ツルヒヨドリ」の防除作業を行った。参加者は約60人。世界自然遺産登録に向け、自然環境の保全対策、機運の醸成や地域住民の意識高揚が目的。

環境省から特定外来生物「ツルヒヨドリ」の防除方法について説明があった後、実際に防除を行い、自然環境の保全に参画した。急こう配の法面=のりめん=(切土や盛土により作られる人工的な斜面のこと)でカマ、ナタ、ノコギリなどを使いながら6時間ほど作業を行い、最終的に2㌧トラックで7台分を回収した。

同事務所は2016年からツルヒヨドリの分布調査に着手。奄美市笠利町の須野ダム周辺や、同市名瀬根瀬部~大和村国直間、同村今里~宇検村宇検の県道沿いなど約10か所で繁殖が確認されている。

環境省によると、ツルヒヨドリは驚異的な繁殖力を持ち、一日に約10㌢もツルを伸ばしながら葉を広げていく。英語で「1分で1マイル広がる雑草」の異名を持ち、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」に挙げられている。在来生態系だけでなく、農作物にも大きな被害を及ぼす可能性があり、発見したらすぐに防除する必要がある。

葉の長さは4~13㌢、幅5~10㌢、表面はつやっとしていて少し光沢があり、毛は生えていない。形は基本的にはハート形で、縁が少しギザギザしている。11~12月にかけて小さな白い花が集まって咲く集合花をつけ、1月には綿毛の付いた軽い種を多量につける。

ツルヒヨドリはツルが地面に触れている箇所から根を広げるため、回収したものは拡散しないよう徹底して処分する必要がある。

同協会の伊東一宏会長(61)は「環境省の指導を受けながら一緒にやった。世界自然遺産登録に向けて、業界として自然環境の保全に協力していきたい」と話した。

同事務所の阿部慎太郎所長は「今はまだ限定されているツルヒヨドリをどうやって根絶するか、役場や協会など地元のみなさんの協力をいただきながらやっていきたい。まずはツルヒヨドリを知ってほしい。そしてもし繁殖を見かけたら環境省か各市町村へ連絡してほしい」と呼び掛けた。

ツルヒヨドリの繁殖を見かけた際は各市町村の世界自然遺産登録対策窓口、または環境省奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所?0997・55・8620まで。