研修会・説明会開催で、奄美大島地域の介護サービス提供継続へ支援チームの活動が開始された
奄美大島介護事業所協議会(盛谷一郎会長、38法人)は、クラスター(感染者集団)発生など新型コロナウイルス感染症が拡大した場合でも介護サービスが継続して提供できるよう、支援チームを発足させたが、28日、研修・説明会を開いた。医療的知見から専門家による講話、創設の経緯説明や質疑応答などがあり、支援チームの活動を開始。高齢者のフレイル(心身の衰え)予防のためにも介護サービス継続の必要性が挙がり、支援チームから派遣される応援職員がスムーズに日常業務を引き継ぐには、マニュアル(文書化)策定など「普段からの準備」の大切さが指摘された。
研修・説明会は、法人経営者や事業所管理者、奄美大島5市町村担当者らが出席した会場(奄美市名瀬のAiAiひろば)だけでなく、Zoom活用で各事業所が結ばれるWeb会議方式で開催。事業所から移動して会議に出席できない職員も、事業所内で情報に接することができるようにした。
研修会の講師を務めたのは、国民健康保険大和診療所・所長(医師)の小川信さん。小川さんは県医師会新型コロナウイルス感染症相談窓口となっており、与論島で発生した最初のクラスターの際は現地に派遣され、PCR検査などの医療支援、町が開催した対策本部会議にも出席しアドバイスを行った。
小川さんは、感染症により重症化しやすい高齢者を守るには地域全体で一丸となることが大切とし、介護サービスにおいては「複数事業所での相互救援体制」の構築を提唱。今回、民間主導による奄美大島内での支援チーム発足について「感染あるいは濃厚接触者として施設や事業所のスタッフが勤務できなくなった場合、特にグループホームなど小規模事業所ではサービスが立ち行かなくなってしまう。高齢者のフレイル予防のためにも介護サービスの継続が求められるだけに、継続に向けて介護事業所協が中心となり、こうした組織(支援チーム)が誕生したことは、高齢者を守っていく上で意義深く、とても素晴らしいこと」と評価した。
応援職員の派遣、受け入れにあたりポイントとして小川さんが挙げたのが「普段からの準備」。日常業務のマニュアルに取り組むことで、「応援に入る人が日常業務を実行できるように、普段の業務をマニュアル化してあると引き継ぎができる」と指摘し、各施設や事業所での事前の取り組みを求めた。
続いて計画策定および支援チーム創設の経緯説明があり、支援チームの代表に就いた長谷川大さん、警戒レベルに合わせて設置している実行チーム(レベル1~3、レベル4~5、収束~回復期)、事務局代表が自己紹介。長谷川さんは、島内で感染者発生に伴う事象として▽要介護者の利用控え▽サービス提供の不安(従業者・事業所)▽事業者の事業継続リスク上昇―などが考えられる中、「サービスを受けられなく、ならないようにしたい」との思いから関係行政機関と話し合いを始めたのが第一歩と説明。それぞれのチームの現状と課題の説明もあり、これからの取り組みでは研修会企画や実施、協力事業所・協力従事者の募集、発生問題のシュミレーション検討、関係機関への情報発信と連携体制構築などが挙がった。
会場内、各事業所を結んでの質疑応答もあり情報共有。盛谷会長は「自分の身を守る、利用者を守る、地域を守るという意識を常に持ち、周りを気遣う目線を保って活動していきたい」と語った。