奄美でシゴトを創るゼミ

飲食業の観光対応などについて学んだ「奄美でシゴトをつくる」ゼミ

伝統、日常生活と結びついた食文化提供を
飲食店など起業目指す対象者に

 奄美市名瀬の奄美自治会館で28日、起業を目指す人たちを支援する地域起業家人材育成事業「奄美でシゴトを創るゼミ」があった。飲食店や農産加工品の販売などの起業を計画する6人が受講。創業の基礎や飲食業の観光客対応力向上、Google(グーグル)活用術などについて学んだ。

 ゼミは、奄美群島広域事務組合の主催で、毎年、群島内の各離島で複数回に渡って実施。今年度も来年3月までに8項目をテーマとした講座を開催する。

 今年度1回目となった同日のゼミは、全国で起業家の支援活動などを行っている金森康氏(兵庫県姫路市)と菊池信孝氏(同県神戸市)、上地明彦氏(沖縄県那覇市)の3人が、継続可能な事業活動や起業に必要な心構えなどについて、起業家として取り組んできた自らの経験などを基にアドバイスした。

 飲食業の観光客対応力向上のためのゼミでは、食物アレルギーやベジタリアン、宗教上の理由により食べられないものがある人に向けた世界品質の食材表示ツール「フードピクト」を開発、ライセンス販売を手掛ける会社を起業した菊池氏が、「コロナを機に加速する食のトレンド」について、世界各地で取り組まれている成功事例などを紹介。奄美群島の固有食材や伝統、日常生活と結びついた食文化を提供することや、各島々の特産品などに注目し、多様で持続可能な魅力を、シンプルな表示方法などで観光客などに分かりやすく発信することの必要性を指摘した。

 菊池氏は、「新型コロナウイルスにより来日する外国人観光客が減少した今だからこそ、コロナ禍後を見据え、今から外国人観光客に選んでもらえる観光地づくりをする必要がある」などとし、「ただおいしい料理を提供するだけではなく、奄美でなければ食べることのできない料理を、島の文化などの背景も含めて提供することで満足してもらえる」などと話した。

 また、言葉、文化、理解が、外国人観光客受け入れの壁となっていることを指摘。外国人にも分かりやすいパッケージデザイン、食物アレルギーやイスラム教徒など宗教上の理由などにより食べられないものがある人が、安心して食べることのできる料理の提供やフードピクトを使った食材表示などについてアドバイスした。

 同ゼミは30日まで行われ、上地氏がグーグルの活用術などについて指導する。