年末年始は忘年会や新年会でにぎわう奄美市名瀬の屋仁川通り(28日午後8時ごろ)
11月も残すところ0わずかとなり、例年であれば忘年会の計画が話題に上る時期だが、全国で連日2千人規模の新型コロナウイルスの感染者が確認される中、忘年会を中止する企業や団体が増えているという。奄美市最大の歓楽街「屋仁川通り」でも、多くの飲食店で予約が少ない状況で、関係者からは「団体客の予約はほとんどない。こんなことは初めて」と困惑の声が上がっている。
「例年なら11月に入れば、忘年会の予約がかなり入っていたが、今年は、今のところ10人以上の団体の予約は1件のみで、ほかは少人数の飲み会。企業など職場関係の予約は全くない」。屋仁川通りで居酒屋を経営する男性(40代)は、一番の書き入れ時である年末年始を前に、厳しい経営状況に肩を落とす。
東京商工リサーチが11月19日に発表した調査では、1万59社のうち87・8%の企業が忘年会や新年会を開催しないと答えた。鹿児島県では回答のあった94社のうち、79・7%に当たる75社が開催しない予定だ。新型コロナウイルス感染者が急拡大している北海道では93・0%、東京は90・3%に上った。
県大島支庁や奄美市など島内自治体では、職員に忘年会などの自粛は要請していないものの、感染対策などの観点から大人数での開催は難しいのが現状。同市の男性職員(50代)は「職場での忘年会は予定していない。飲食店の現状を考えると、飲みに行くことも必要と思うが、万が一のことを考えると難しい」と話した。
市内の飲食店約90店舗が加盟する奄美市社交飲食業組合によると、夏以降、観光客も徐々に増え、国のGoToイートなどもあり11月当初までは、屋仁川の客足も徐々に増えつつあったという。しかし、与論島でのクラスター(感染者集団)発生や東京、大阪での感染拡大を受け、11月中旬以降、徐々に客足が減少、同組合のの伊東隆吉理事長は「感染拡大で、東京、大阪からの観光客が減少している。飲食店でクラスターが発生していることも忘年会中止に影響しているのではないか」などと指摘する一方、「多くの店舗で換気や消毒など徹底した感染対策をしている。少人数での利用を呼び掛けるなど、安心して利用してもらえる環境をつくっていくしかない」と話した。