「土づくりセミナー」

宮丸講師の話を熱心に聞く参加者たち

 

会場からの質問に丁寧に応える宮丸さん(左)と湧川さん

 

 

自分の土を知り、対策を
奄美大島・喜界島認定農業者研修会
龍郷町で

 

 県大島支庁農政普及課、県農業経営者クラブ大島支部、大島地区指導農業士会、大島地区農業改良普及事業協議会は1日、龍郷町体育文化センターりゅうゆう館で、奄美大島・喜界島認定農業者ら約150人を対象に、外部講師を招いて「土づくりセミナー」を行った。自分のほ場(農作物を育てる場所)の土を知り、対策を立てることの重要性が伝えられた。

 奄美大島の土壌は緻密な粘土質の赤色土壌で、ほ場によっては、排水不良や塩類集積に起因する作物の生育不良を招き、単収低下の原因になっている。このため、土づくり及び排水対策の知識・技術の向上、各作物の生産性の向上を図ることを目的とし、併せて新規就農者や青年農業者の知識習得の機会とした。

 講師を務めたのは、沖縄土壌医の会会長で土壌医の宮丸直子さんと、同会の土づくりアドバイザー湧川哲雄さん。セミナーのテーマは「南西諸島における畑地土壌の特性とその改良手段」。宮丸さんが「見直そう!基本の土づくり!」、湧川さんが「排水対策事例」と題してそれぞれ講演を行った。

 宮丸さんはまず農業の基本は土づくりであること、土壌の三つの性質として▽物理性=土の硬さ、作土層の厚さ、排水性、保水性等▽化学性=pH、可給態窒素等▽生物性=微生物量、土壌病害虫等ーがあり、そのうち作物生育にいちばん影響するのは物理性であると説明。土づくりの基本技術として①硬盤層がある↓心土破砕②強酸性土壌↓酸度矯正③腐植や地力窒素が少ない↓有機物施用ーの三つを挙げ、この三つをそれぞれ改良することが大事だと述べた。そしてそのために土壌診断、土壌断面調査を行うよう勧めた。

 湧川さんはウッドチップトレンチと補助暗渠=あんきょ=(外から見えない水路のこと)の組み合わせによる排水対策事例などを説明した。

 会場からは自身のほ場についての相談が相次ぎ、宮丸さん、湧川さんが丁寧に対応していた。