住用地区排水機場が完成

水害対策として住用町石原に完成した排水機場

 

石原、西仲間集落の防災力強化期待
豪雨災害で浸水被害

 

 2010年10月の奄美豪雨で河川が氾濫、多くの住宅が床上浸水などの被害に遭った奄美市住用町で整備が進められていた「住用地区排水機場」が完成し、2日、同地で完成披露式があった。式典には朝山毅市長や県大島支庁の田中完支庁長、地元住民らが出席、施設の完成を喜んだ。排水機場の運用開始により、たびたび大規模な浸水被害に見舞われてきた同町石原、西仲間集落の水害対策として、防災力強化が期待される。

 排水機場は、同町石原、西仲間の両地区や近くを通る国道58号の浸水被害防止などを目的に、奄美市が総事業費7億4700万円をかけ、2015年から6年がかりで整備。大雨などにより施設横の遊水池の水が一定量に達するとポンプで強制的に住用川に排水する。

 施設には毎秒1・25㌧の水を排出できるポンプ2台と、停電時に備え12時間連続運転が可能な発電機および燃料タンク、住用総合支所で遠隔操作可能な監視カメラ3台などを整備している。

 施設横には、大雨の際に国道や集落内に流入した雨水が流れ込んでくる広さ約3000平方㍍の遊水池があり、水量が約6000㌧(水位2㍍)に達すると、自動でポンプが作動、水位が1・3㍍になるまで、住用川に強制的に排水する仕組み。ポンプは25㍍プール(幅15㍍、水深1・5㍍)の水を4分ほどですべて排水できる能力があるという。

 式典では、朝山市長が「奄美豪雨で大きな被害を受けた住用川流域の住民らの安全・安心を守る施設を整備することができた。今後も流域住民が安心して過ごせるよう努めていきたい」などと話した。

 10年の奄美豪雨では、住用町で1時間に100㍉を超える雨が数時間続き、住用川の水位が上昇。上流に位置する西仲間集落では支流の冷川(ひやかわ)から流れてきた水があふれ、集落を襲った。また、下流の低地にある石原集落では住用川の増水に伴い、国道から流れ込んできた雨水を遊水池から住用川に放流できず、行き場を失った水が集落内にあふれた。