海の宝アカデミックコンテストで最優秀賞を受賞した大島高校の髙橋千那さん(2年)
県立大島高校の髙橋千那さん(2年)は、「海の宝」を発見・創造・発信することを目的とした「海の宝アカデミックコンテスト全国大会2020」のマリン・カルチャー部門で最優秀賞に輝いた。身近にある夜光貝が、岩手県の国宝・中尊寺金色堂に使用されていることに着目。建設した藤原清衡に、従者が夜光貝の仕組みを化学式や図を用いて解説する様子を会話形式でコミカルに表現した。
同コンテストは、北海道大学大学院水産科学研究院が主催。日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で中学・高校生を対象に開催されている。科学の知識や実験・研究に関する発表など、自然科学をテーマにしたサイエンス部門と、海の絵や写真を使った文化や物語の作品など、文化的な内容をテーマにしたカルチャー部門に分かれる。
髙橋さんは、もともとSDGsや、歴史に関心があり、物語の創作が好きだったという。今年7月に同コンテストの存在を知り応募。夏季休暇を活用し制作した。題材は、遠く離れた地の国宝に、身近にある夜光貝が使われていることに魅力を感じて決めた。夜光貝磨きは小学校5年生の時にやすりで挑戦し、失敗した経験を生かす。貝の真珠層を覆っている層が炭酸カルシウムであることから、酸で溶けるのではないかと実験を重ね、穀物酢で溶かすことに成功した。表現方法は、より伝わりやすいようにチャット形式を採用。くだけた表現を意識し試行錯誤を重ねたという。
「科学は苦手です」と話す髙橋さんだが、今回審査員の一人に、「この研究は海洋酸性化にも関わる」との意見をもらった。人間が放出する二酸化炭素が原因で海洋酸性化が進むと、海水中の炭酸カルシウム飽和度が減少。貝類やサンゴなどの、炭酸カルシウムで骨格を形成する生物の成長や繁殖への影響が危ぶまれている。
髙橋さんは来年、この題材でサイエンス部門に挑戦する予定だと言い、「コンテストに参加したことで、知見を深めることはもちろん、プレゼンテーション能力や人前に立つ勇気、興味のあることに積極的に取り組むことの大切さを学んだ」と笑顔で語った。
髙橋さんの作品タイトルは「夜光貝と中尊寺金色堂」。北海道大学 大学院水産科学研究院マリン・ラーニング事務局ホームページから見ることができる。