大島紬の魅力や仕事について熱く語る黒田さん
奄美市名瀬の県立奄美図書館は19日、同館4階研修室で12月のあまみならでは学舎を開いた。参加者は高校生からお年寄りまで46人。今回は本場奄美大島紬協同組合常務理事、㈱都成織物取締役専務の黒田康則さん(42)が講師となり、「大島紬の魅力と大島紬で働くこと」と題して講演した。黒田さんは「大島紬という仕事は決して特別な仕事ではなく、いろんな職人のバトンリレー。業界も変わってきている。ぜひ知って欲しい」と熱く語った。
黒田さんは本場奄美大島紬産地再生計画策定委員や、本場奄美大島紬JAPANブランド事業で海外へアプローチするなどの経験を持ち、多数のメディアに出演している。
神奈川県出身。約10年半広告代理店に勤務後、現都成織物社長に誘われ、「南国で暮らしてみたい」「モノづくりをしてみたい」という思いから、2013年に奄美大島に移住し、「大島紬」の世界へ。最初の2年間は研修センターで大島紬の技術を基礎からみっちり学んだという。
大島紬の特徴は世界でも有数の細かい絣=かすり=模様で、何人もの「伝統工芸士」と言われる職人のバトンリレーで約1年かけてつくられている。黒田さんは「大島紬の職人は特殊な能力を持っていると思われがちだが、そうではない。不器用な自分も30歳過ぎてから2年みっちり学んでなんとか職人としてできるようになったのだから」と話した。
また、大島紬の魅力について、①約1300年という「長い歴史」を持っている②奄美大島と鹿児島でしか製造していないーことを挙げ、産業・ビジネスで大きなメリットになると述べた。
問題点として、賃金体系が出来高払い制であることや安いことを挙げ、業界をあげて改善に取り組んでいることを説明。例として奄美市と行っている後継者育成事業や、大島紬職人専門住宅を提言していることなどを紹介した。
参加していた奄美高校教員の大冨将範さん(42)は「やりたいと思えば2~3年でできること、働く環境もよくしようとしていることがわかったので、こういう情報を生徒に伝えたい」と話した。また、高校3年生の伊東未来さんは「もっとつくるのが難しいと思っていたが、がんばればできると思って考えがちょっと変わった。賃金が課題なのはさみしいと思ったが、対策も初めてわかってよかった」と話した。
黒田さんは「なんとかこの業界を残したい。この歴史を途絶えさせたくない。いろんな人に大島紬を知ってもらい、やってみてほしい」と語った。