青果物は県本土産の入荷量の多さから安値、地場産は日照不足の影響が出ている
奄美市名瀬の地元市場・名瀬中央青果㈱(森山直樹社長)の年末の青果物市況で地場産は、葉物でサイズが小さめなど日照不足の影響が出ている。県本土産の入荷量が多く青果物全体では安値だが、年越料理用のツワブキなどはこの時期特有の高値相場となっている。
加工品で高値となっているのは、ツワブキのほか、タケノコ、アザミ、切り干し大根など。奄美大島島内だけでなく徳之島からも入荷があるツワブキは、通常キロ当たり500~600円(いずれも税抜き)の値だが、12月下旬に入ってからは1600円近くまで上昇。煮込み料理で用いられるアザミも人気で、このところ1000円以上の値をつけている。
青果物でダイコン、キャベツ、ハクサイなどは本土産地の台風被害がなく、新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食控え(需要減)もあり入荷量は例年より多め。市況はキャベツの場合、キロ当たり高値でも83円にとどまり、例年ならプラス100円で取引されているという。「本土産の値段に引っ張られるように」(中央青果)地場産も安値基調。
例年の半値程度という安さに加え、地場産は12月に入っての曇天続き・長雨による日照不足の影響が出ている。ホウレンソウなど葉物では「サイズが小さく、なかなか成長しない。これでは出荷できない。年内は収穫をあきらめ、天候の回復を待って年明けから出荷したい」と判断する生産者もいるという。袋詰めなどで市場に出荷されているかんきつでは傷み、水分の付着による水腐れもあった。中央青果は「かんきつ類の持ち込みにあたっては、収穫後に1週間程度予措(よそ=果皮の乾燥)を行い選別してほしい」と呼びかけている。味も落ち着くという。
このかんきつ類ではポンカン、新品種の「津之輝」が持ち込まれている。津之輝の主な出荷先は奄美市住用町や瀬戸内町。市場への入荷の本格化は今期からで、量ではポンカンと大きな差はないが、値段では津之輝の方が上回っているという。高値で比較すると津之輝は700円近くまで上昇、ポンカンは300~400円となっている。
なお、年内セリは30日まで行われる。