シマ旅で奄美再発見 20コロナ禍の夏を行く①

奄美大島北部の風景印用台紙

竜郷郵便局で「ゆうパック」のお礼に頂いたトイレットペーパー

大島が加えられている「大島小湊郵便局」の看板、ヒマワリの花で湊が隠れてしまった

奄美大島内外郵便36局風景印で知る見所
心温まる観光PR文

 昨年の夏は、龍郷町龍郷の知り合いの自宅に転がり込んで仕事に明け暮れた。集落の端にある竜郷郵便局(大司由起夫局長)から本土へ向けて「ゆうパック」を利用することが多く、窓口の職員の原永愛さんには、いろいろと教えてもらった。各郵便局には日付印だけではなく、その集落の観光名所や伝統文化などをデザインした風景印があり、奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島には36局の風景印が設けられ、収集マニアもいるという。新型コロナウイルス感染症のため、単身赴任で奄美に在住。仕事の合間と天候、船の出入りを確認しながら、8月20日から10月21日までの2カ月間、郵便局の風景印をスタンプラリー。そのおかげで島外に行けないストレスを発散。36局を巡るシマ旅で新たな奄美の観光地を再発見することに。4回に渡って紹介する。

奄美大島北・中部編㊤

 ことの始まりは竜郷郵便局の窓口でのやりとりから。「ゆうパック」の伝票住所に久場や龍郷以外に有良と芦花部が印字されているので、「有良と芦花部は奄美市よね? 龍郷ではないのに、なぜ、ここに伝票があるの?」と尋ねた。原永さんは「有良、芦花部の人たちは、うちの局が近いので、荷物は竜郷局に持ってきますよ」と教えてくれた。なるほど。山を越えて浦上に向かうより平坦で芦花部と秋名トンネルを越えて龍郷に来たほうが楽だということだ。名瀬にいる身では知らなかった。

 この話を皮切りに、伝票に印字されている郵便局を回るのは、面白いかもね、との話題になり、竜郷郵便局の局内に飾られている風景印のPR文が原永さんから紹介された。説明文には「西郷隆盛が島の娘、愛加那と結婚し、龍郷の地で3年ほど暮らしていた〝謫居跡〟を表現しました。また、龍郷の山に多い〝ソテツ〟と国の天然記念物〝ルリカケス〟をアレンジしております。円型の縁取りは、製作時点でのゆがみでございますので、あしからずご了承下さい」とあった。

 原永さんは「夏休みなので、郵便局の風景印をスタンプラリーするマニアもいるんですよ。いかがですか?奄美大島北部の台紙を用意しておきますね」と出力された「奄美大島北部」の風景印台紙を用意。63円の切手を購入して、最初に竜郷郵便局の風景印を押印してもらった。

 台紙には「奄美大島の玄関口で奄美市街地まで海岸線の道路が多く、ドライブコースとしても人気です。また、観光施設も多いので、郵便局にお立ち寄りの際は、お勧めスポットを案内いたします」と心温まる観光PR文。鶏飯、ハートロック、打田原海岸の写真が添えられている。8月20日のことだった。

 同局の風景印は古くから変わらずに使用されているもので、製作者不明。奄美の各局では2019年5月にほとんどの局がデザインを変更。今も変わらずに風景印が使用されているのは「名瀬・東城・住用・市」の合わせて5局のみだという。続けて奄美大島中部に入る故郷の小宿郵便局へ。風景印は大浜海岸の夕日とハイビスカスをデザインしたもの。作者不詳。

 8月21日には、名瀬市内各郵便局へ。奄美高校などにデザイン依頼した局も。大島小湊局には、職員が収集した奄美大島中部編が貼付してあった。「小湊」局ではなく「大島小湊」局となっているのは、鹿児島県内にも同地名があるため、区別のために「大島」を加えているとのことだった。同局の看板も「大島小湊郵便局」だった。夏休みの宿題のように「郵便局名で知ることがあった」とメモ。

 翌月の9月8日。車を北部郵便局に含まれる名瀬佐大熊郵便局と浦上郵便局へ。名瀬佐大熊局へ数㍍のところで、あまりの暑さに運転する車のラジエーターがオーバーヒート。近くの石油会社へ連絡、水分補給後、あわただしく名瀬佐大熊郵便局で押印してもらい浦上へ。

 浦上郵便局の風景印は、「大熊漁港の新鮮なかつおとパワースポット有盛神社」で、外枠に10匹のカツオが躍動する様がデザインされて、今までの風景印の中では知り合いたちに人気を集めた。ちなみに母は大熊漁港「宝勢丸」のシビ(キハダマグロ)をお土産に届けるだけで「これを食べると元気が出る」と笑顔になる。

    (永ニ優子)