JAタンカン品質調査結果

懸念された日照不足の影響は着色に見られたが、内容(糖・酸)については「いい仕上がり」と判断されたタンカン品質調査

糖・酸いい仕上がり
日照不足影響「着色に若干ムラ」
収穫適期2月以降

 JAあまみ大島事業本部は12日、今年度最後となるタンカンの品質調査を奄美市名瀬朝戸の奄美大島選果場で行った。平均糖度10・43度、クエン酸1・09%となり、過去2年間の1月の状況と比較しても大きな差はなく、「いい仕上がり」状態にある。一方、着色については昨年12月以降続いている日照不足の影響が出ている。

 タンカンの品質調査は昨年10月から毎月1回行ってきた。最後の調査には龍郷町を除く奄美大島内4市町村から131点の果実が持ち込まれ、各市町村・県・JAの職員で構成する県園芸振興協議会果樹部会が担当した。

 果実の大きさ(横径)測定後、切断し果汁をしぼり出し、専用の機器で糖と酸を測定。算出されたデータは光センサー選別の選果ベースとして活用される。

 今回(2021年1月平均)の調査結果を過去2年間と比較すると、20年(1月平均)糖10・42度、酸1・22%、19年(同)糖10・77度、酸1・19%となり、糖は19年が高いが、今回を含め3年間は10度台と大きな差はない。大島事業本部果樹技術指導員の大山綱治さんは「日照不足の影響が心配されたが、内容は例年通りのいい仕上がり。気温の低下をもたらしている寒がプラスになっているのではないか」と指摘する。

 課題となっているのが着色。「曇天・雨天続きで日差しが少ないからか、着色に若干ムラがある。収穫適期は2月以降であり、初期の収穫にあたってはタンカン特有の紅乗りなど着色に注意してほしい。晴天が続けば着色が好転することから、今後の天候回復に期待したい」(大山さん)。

 品質以外の着果量については良好で豊作が見込まれている。JAでは病害虫被害や傷果など出荷できない果実については「早めの樹上選別・摘果」を呼びかけており、着果量が多い時期の取り組みによって翌年も生産安定を目指す。