インフル異例の低水準

県内の今季感染者わずか20人
手洗いなど感染対策と予防接種の効果か

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、同時流行が懸念されていたインフルエンザの患者数が異例の低水準で推移している。例年なら1月~2月に流行のピークを迎えるが、県内で12月21日~今年1月3日までの2週間の感染報告数は4人のみ。今季全体の感染者数もわずか20人となっている。

 インフルエンザは通常、11~12月に流行入りし、1~2月にピークを迎える。厚生労働省は毎年、9月から翌年5月末までの間、1週間ごとにインフルエンザの発生状況をまとめており、昨年9月1日を含む第36週から52週(昨年12月21~27日)の17週間の累積患者数は、全国でわずか522人だった。

 鹿児島県も県内92の定点医療機関の報告を基に1週間ごとの患者数を集計。県内で今季初のインフルエンザ感染が確認されたのは第41週(昨年10月5日~11日)で、以降、今年1月3日までの累計の感染者は20人。12月以降は毎週1~3人程度の報告数で推移している。

 昨年の同時期の1週間の報告数約2300人と比べると、今年は0・1%ほどに激減。1機関の平均患者数(1週間)が1人を超えると流行入りとみなされる定点当りの発生件数も、今月3日までの1週間は0・01人にとどまっている。

 また、厚生労働省は新型コロナとの同時流行を警戒、インフルエンザの予防接種を呼び掛け、例年より多いワクチン供給を実施。県薬務課によると、県内では昨年の約39万本より5万7千本多い、約44万7千本のワクチンが供給済み。これは約89万人が予防接種を受けられる数で、奄美市内の医療機関でも高齢者を中心に例年以上に予防接種を受ける人が増えているという。

 感染者が異例の低水準で推移している要因について、県健康増進課の亀之園明課長は「新型コロナの感染対策として、例年以上に手洗いや消毒、マスクの着用などを心掛けていることも流行防止につながっているのでは」と指摘した上で、「今後の流行を防止するためにも、新型コロナ予防同様に基本的な感染対策を徹底し、警戒を続けてほしい」としている。