緊急事態宣言拡大受け 奄美各界の声

緊急事態宣言が大阪など全国に広がった(イメージ資料 写真AC)

 

期待と不安、入り交じる
経済対策、引き続き措置を

 

 政府は13日、大阪、兵庫、京都の3府県のほか、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県を対象に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を再発令した。対象地域では1都3県と同様、不要不急の外出自粛要請や往来制限などを行う方針で、奄美群島内でも医療機関からは感染拡大の歯止め対策として期待が高まる一方、観光や経済の各方面からは影響を懸念する声が挙がるなど、異なる立場で期待と不安は入り交じる。

 大島郡市町村長会長の高岡秀規徳之島町長は緊急事態宣言拡大を受け「群島内では断続的に感染者が確認されており、本土と比べて脆弱で限られた医療体制の中、住民一人ひとりの感染対策と医療従事者の尽力で安全が保たれている」と談話を発表。「都市圏からの往来が縮小していくことで経済への影響が心配されるが、収束のためにも一丸となって感染対策を徹底し、対象地域への不要不急の往来は極力自粛するよう願いたい」と協力を求めた。

 大島郡医師会の向井奉文会長は「感染拡大になかなか歯止めをかけることができない状況が続いていたので、感染が多発している大都市圏の人の流れを止めるためには必要な措置」と緊急事態宣言の拡大を歓迎。「対象地域以外の地域にも警戒を呼び掛けるための強いメッセージとなった。奄美市でも人数は少ないものの感染者が出ている。感染対策疲れの人もいるだろうが、もう一度気を引き締め、対策を徹底する必要がある」と話した。

 一方、対象地域への往来自粛要請などを受け、島内でも観光やイベント、経済への影響を懸念する声も出ている。昨年8月以降、GoToキャンペーンの効果もあり客足は徐々に回復の兆しが見せたが、中断以降は宿泊施設のキャンセルが相次ぎ打撃となった。自治体の支援などでつないできた事業者らも「今回はもっと深刻な影響が出てくる可能性もある」と不安を隠せない。

 奄美大島商工会議所の有村修一会頭は「観光による外貨獲得が見込めない以上、地域内で経済を回す仕組みをつくる必要がある。新型コロナの影響で企業の体力も弱まっており、これまで以上に国や県、地元自治体の支援が必要」と強調。「奄美市には、前回の緊急事態宣言時のような経済対策をもう一度お願いしたい」と引き続き措置を求めた。

 奄美大島観光協会の越間得晴会長は「観光停滞の〝第二波〟になってしまった。一日も早い収束を願うが、その見通しは立たない」と落胆。「知恵を絞って昨年から続く難局を乗り越えなければならない」と自身を奮い立たせるが「緊急事態宣言の対象地が広がることで、打撃が予想できなくなることを危惧している」と危機感を募らせた。