住用川で捕獲されたコイ(昨年9月27日)=提供写真
捕獲したグリーンソードテール(同7月28日)=提供写真
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)はこのほど、河川に生息する外来種などを調査した「2020年度水生移入生物分布調査及び駆除事業」の報告書をまとめた。住用町の住用川下流域では、国内外来種である大型のコイの生息が際立ったほか、龍郷町大美川水系の半田川では飼育・鑑賞用の外来魚・グリーンソードテール数の再拡大を指摘。興会長は「完全駆除を目指した調査の継続、移入種を遺棄・放流しないための啓発活動の拡充が求められる」など報告した。
事業は、5市町村でつくる奄美大島自然保護協議会の委託を受けて実施。今年度は7月1日~11月30日までの期間、奄美市住用川、同役勝川、龍郷町大美川、同半田川、宇検村河内川の5河川で調査した。
捕獲数は、住用川下流でコイ16匹、大美川でナイルティラピア7匹、コイ3匹、大美川水系でスッポン5匹、同半田川ではグリーンソードテール436匹を駆除。宇検村河内川ではスッポン1匹を捕獲した。
リュウキュウアユが生息する住用川では「大型個体のコイの生息も示され、在来種、特に貝類への影響が懸念される」と報告。「供給源となっている新住用川ダムも含め集中的な駆除の継続が望まれる」とした。
半田川のグリーンソードテールについては「生息数は減少していたが、再び大発生を確認」と再繁殖を指摘。駆除の継続と併せて「ミナミメダカなどの保護対策推進も必要」と訴えた。
またスッポンなどの淡水ガメ類については「繁殖力が強く奄美大島内河川に広く分布している」とし「目撃情報の集積と市街地河川を含めた奄美大島全域での駆除が必要」と強調。この他、大美川で繁殖するナイルティラピア駆除の継続、大和村大和川ではコイ1匹が捕獲されたことから、調査範囲の拡充などを求めた。
興会長は、「奄美はどの河川にも多様な希少種が生息している。鑑賞魚などは責任ある飼育を心掛け、ブラックバスやブルーギルなど生態系を破壊するような外来魚の放流は絶対しないでほしい」と呼び掛けている。