2020年奄美署管内交通事故概況

2020年も引き続き高齢者事故の割合は高かった(資料写真)

高齢者事故は高水準
12%減、4年ぶり千件下回る
レンタカー事故はコロナ禍も微減

 奄美署はこのほど、昨年2020年に管内で発生した交通事故発生の概況(速報値)をまとめた。人身・物件事故の総発生件数は前年比71件減の975件で、数値は約12%減と改善したものの、65歳以上の高齢者が関わる人身事故は50・9%で引き続き半数を超えるなど高水準で推移。レンタカー事故はコロナ禍の移動制限下でも微減にとどまるなど、依然として厳しい状況が続いている。

 同署によると、近年増加傾向にあった昨年の交通事故の発生件数は、4年ぶりに千件を下回った。内訳は、人身事故が前年比16件減の55件、物件事故が同55件減の920件で、全体の発生件数は約12%減少した。

 人身事故の種別では、死亡事故が2件(死者2人)、重傷事故が13件(重傷者14人、軽傷者4人)、軽傷事故が40件(軽傷者47人)。前年と比べて死者は1人増え、重傷者は5人減少した。

 人身事故の原因別では、安全不確認が16件、前方不注意が15件、動静不注視が12件など、集中力や注意力が低下した状態で運転する「漫然運転」が原因の約8割を占めた。

 一方、高齢者が関わる人身事故は28件で、全体の50・9%を占めるなど高い水準で推移。高齢者が当事者となる事故は14件(全体比25・5%)で、巻き込まれるなど被害者となった事故は19件(同34・5%)。同署・竹下直志交通課長は「極めて厳しい状況。徹底した取り締まりだけでなく、子どもや高齢者など年代に応じたきめ細やかな交通安全啓発が重要だ」と述べた。

 この他、レンタカー事故は人身・物件合わせて前年比8件減の149件(人身3件、物件146件、死傷者6人)。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い観光客の入込数が大幅に減るなかでも減少幅は小さく、全体に占める割合は0・3ポイント増の15・3%と逆に増えた。

 今年も奄美世界自然遺産の登録を控え、コロナ禍とはいえ入込客の急増も予想される。竹下交通課長は「魅力ある島のアピールには、安心安全な生活・交通環境が大前提」とし、観光客に対しては思いやり運転を心掛けるなど「島内住民のご理解ご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。

 なお、高齢者の免許返納数は前年比9人増の202人。男性113人、女性89人で4・4%増えた。