ザトウクジラの出現頭数

海面から上体を勢い良く突き出したザトウクジラ

ホエールウォッチングに参加したツアー客ら

過去最多の昨シーズン上回る勢い
波しぶき上げ海面に姿現す大迫力の「ヘッドスラップ」

 繁殖や子育てのため奄美大島近海に来遊するザトウクジラのホエールウォッチング&スイムツアーがシーズンを迎えている。新型コロナウイルスの影響から観光客が大幅減少する一方、例年より多くのクジラの来遊を確認。奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)が行っている出現頭数調査で、昨年12月から今月29日までに、106群185頭が確認されている。興会長(50)は「年々、来遊するクジラの数も増えている。生息環境を保護しながら新たな観光資源として活用できるようにしたい」と、関係団体等の連携強化を図っている。

 30日、同協会副会長の才秀樹さん(47)らによるホエールウォッチングツアーの様子が報道機関に公開された。奄美市名瀬の小湊漁港を出港した遊漁船には、報道関係者のほか観光客4人が乗船。同島近海で泳ぐクジラの姿を探した。

 出港から約1時間半、龍郷町戸口の沖合約6㌔の海上で潮を吹くザトウクジラ1頭を発見した。クジラは数回に渡り水面に姿を現し、海面から上体を勢い良く突き出し、そのまま体を水面にたたきつけ、周囲にすさまじい水しぶきを上げる「ヘッドスラップ」という動作などを見せた。

 この日確認されたザトウクジラの体長は約9㍍。興会長は「ザトウクジラは12~13㍍に成長するので、それほど大きくない。昨年産まれた1歳ほどのクジラとみられる」と話した。

 ツアー客らは船上からのウォッチングや、シュノーケリングで水面から観察するスイムなどでザトウクジラが泳ぐ姿を見て楽しんでいた。神戸市から参加した女性(32)は「クジラの泳ぐ姿をこんな間近で見ることができて感動した。是非、また来たい」と喜んでいた。この日は午前と午後の2回のツアーで計3頭のクジラが確認できた。

 才さんは「今年は、毎回クジラが出現しており、こんな頻度で見られるのはめったにない。ホエールウォッチングには最高のシーズンだが、新型コロナの影響でツアー客は例年の1、2割しかいないのが残念で仕方ない」と話した。

 12月ごろから4月ごろにかけ、奄美大島近海には繁殖や子育てのためザトウクジラの群れが来遊。出現頭数などを調査している奄美クジラ・イルカ協会によると、昨シーズンは過去最多の延べ582群979頭を確認した。興会長によると、今シーズンは昨年の同時期(77群127頭)を上回る頭数が確認されており、特に母仔群の出現が大幅に増えているという。