医療確保・防止、経済立直し

二つの柱で推進 県、新型コロナ対策
21年度当初予算案

 県は12日、2021年度当初予算案を発表した。新型コロナウイルス感染症対策では、①医療提供体制の確保、感染拡大防止対策等②経済立て直し等―の二つの柱で対策を推進。予算は3月補正案を含む総額で医療関係が337・3億円、経済関係が104・8億円を計上している。

 21年度当初予算額でみると、医療関係は283・2億円、経済関係は20・1億円。新型コロナ感染症拡大は先例のない危機的状況であることから、県は「県民の命と暮らしを守ることを最優先とした医療提供体制の確保や感染拡大防止対策を実施するとともに、強力な産業支援を実施する」としている。

 具体的な事業をみると、PCR検査体制の整備(環境保健センターのPCR検査体制整備、民間へのPCR検査委託等)、相談窓口設置などを進める総合対策事業で20億9200万円を計上。軽症者または無症状者が宿泊して療養するための施設確保事業(45億1200万円)、重点医療機関などに対する空床確保に必要な費用を支援する体制整備事業(161億8500万円)にも取り組む。また、疑い患者を診療できる救急・周産期・小児医療体制確保に必要な設備整備等の費用支援(17億4100万円)、介護施設等で新型コロナの感染拡大を防止するため簡易陰圧装置の設置、多病床の個室化などに必要な費用支援(4億8300万円)も盛り込んでいる。

 経済関係は、需要喚起策と販路開拓等が柱。需要喚起策では消費者意欲喚起かごしまLINEクーポン発行事業(5億4500万円)、観光かごしま再生事業(8億7800万円)、伝統的工芸品産業需要回復支援事業(1800万円)があり、いずれも新規。LINEクーポン発行は、日常生活で当然に消費するもの以外の物・サービスの購入に利用できる割引クーポンを発行し、県民の消費意欲を喚起する。大島紬などの伝統的工芸品は製造事業者を支援するため、伝統的工芸品産地組合などの新しい生活様式に対応した需要回復の取り組みに対して補助する。

 販路開拓等も新規で、▽ものづくり産業生産革新支援(3億9900万円)▽サービス業販売チャンネル新規開拓・生産性向上支援(2億5700万円)▽かごしまのさかな販路開拓支援(9千万円)▽鹿児島県SHOCHU市場開拓(7100万円)▽これからの6次産業化等商品開発・販路拡大モデル育成(2千万円)―の各事業を展開。このうち、予算額が最も多いものづくりは、ポストコロナを見据え、中核企業をはじめとする県内製造業者の新製品・技術の開発や生産性向上に対する取り組みを支援する。

 このほか水際対策として国から要請されている入国後の14日間の待機など、外国人技能実習生などを受け入れる際に、受入事業者が追加的に負担する経費を支援(1億200万円)。文化芸術団体等が実施するコンサート・演劇等の開催支援(2500万円)、県内合宿促進のため県内外スポーツ団体の合宿費支援(3300万円)にも取り組む。