沖永良部の花や野菜を販売する悠子さん
海外専門の旅行会社に15年間勤務していた北海道石狩出身の太悠子さん(42)。2年前、沖永良部に移住してすぐに和泊町役場の太剛志さんと結婚。今は、昨年4月から奄美大島に出向している夫と龍郷町大勝に住む。
悠子さんが沖永良部に移住を決めたのは、サラリーマン時代からヨロンマラソンなどで通い続けてなじみがあり、与論島から近い沖永良部島にも寄ったりした。島の知り合いからは「移住するなら沖永良部がいいわよ」と奄美と与論も視野に入れていたが沖永良部を「選び取った」。
昨年5月には一人あたり10万円の給付金をもらった際、公務員の夫から「ためになる使い方で寄付してくれ」と注文され、何がいいか考えた。コロナ禍で沖永良部島の花もご多分に漏れず売れない状況に。大勝の近所の人たちへのあいさつ代わりに沖永良部の花をプレゼントした。
「もらった人たちから、今度は買うから持ってきてね」とうれしい言葉が。お盆と正月に持参して沖永良部の花を宣伝販売、旧暦に合わせて1日と15日の墓参り前から一緒に販売を続けてきた。
すると、友人たちから特定の場所に置いてもらおうとのアイデアが出て、大勝や浦上郵便局、てるまに珈琲、大島紬の店「you&祐」、節田の「島一」などが、沖永良部の花だけでなく、ジャガイモ「春のささやき」やミカンを扱ってくれるようになった。
悠子さんは奄美の人たちは鹿児島ばかりを見ている。「奄美群島内で補いあいながら売ったり買ったりすることを考えるといいのにね。すき間産業になりうるわ」と考える。
サラリーマン時代に自分でやるということは大げさなことだったが、「島では人が集まっていろいろなことができる。それは旦那さんの人脈のおかげです」と話す悠子さんは「勝手に沖永良部大使」を自認。
夫の剛志さんは、「バルーンおじさん」として沖永良部島ではつとに知られる有名人。結婚式やイベントなどでバルーン飾りつけなどして喜ばれてきた。できたら2人で龍郷町内の小学校卒業式にバルーンでサプライズ卒業をプレゼントしてあげたいと考えているが、候補先はまだ未定。
14日(日)午前10時からは、奄美市笠利町節田の「島一」で「島のおいしいが集合」と銘打って、てるまに珈琲、やみつきからあげ、ロシアンカフェミーシャ&マーシャと一緒に沖永良部島の花や野菜などを用意する予定。