三献を食す前にあいさつをする叶辰郎さん
シマ唄の披露も
瀬戸内町篠川・叶農産
旧暦1月1日の12日、瀬戸内町篠川の叶農産(叶辰郎代表)で「旧正月を過ごそう会」があった。辰郎さん(67)と妻の淳子さん(58)が主催。叶夫婦の知人友人ら12人が参加し、和やかな雰囲気のなか、旧正月を祝った。
叶農産の敷地内テラスで、“三密”を避け開催。参加者は家長・辰郎さんの「ウエシャウォロウ(いただきましょう)」の掛け声で奄美の正月料理「三献」を食した。初めて三献を食べる人も多く、奄美の伝統文化を感じながら味わっていた。参加者の一人はシマ唄の「朝花節」や「ヨイスラ節」を披露し、正月の雰囲気を盛り上げた。
同町篠川の「三献」は、一の膳の餅の吸い物(お雑煮)、二の膳の白身魚の刺身二切れにショウガを添えたもの、三の膳のせんかん(しんかん)と呼ばれるダイコンと豚肉のみそ汁。辰郎さんの母・エツさん(享年99)が生前、淳子さんに伝えた調理法で振る舞われた。
なお、この時期はタンカンの収穫・発送の作業や黒糖の製造で多忙になるため、叶家では旧正月祝いは長年見送ってきたという。今回は、昨年12月に関東から龍郷町へ移住した清水早苗さん(51)が、叶夫婦に提案したことがきっかけで実現した。
清水さんは「実家との違いが感じられ、貴重な経験だった」と笑顔。淳子さんは「多くの人が旧正月に興味を持っていて驚いた。小さい(規模)ながらも、文化を受け継いでいけたら」と話していた。