共生・協働推進協研修

「ソロではなくシンフォニーで」と語る金子准教授

親子で登壇した、金子准教授親子(左が陽飛さん)

「ソロではなくシンフォニーへ」
金子鹿大准教授と高校3年生の町内会長・金子さん

 2020年度大島地域共生・協働推進協議会地域リーダー研修会及びサポート人材研修が19日、県大島支庁会議室と奄美群島各機関を結んだオンラインで開かれた。一般や関係者など35人が参加、講演や事例発表などを通して地域コミュニティー組織のあり方を学んだ。

 同協議会は、多様な主体が連携・協力し地域に必要なサービスを提供する新しい仕組みの形成と共生・協働型コミュニティの形成を実現させる目的。講演と事例発表では活発な意見交換が行われた。

 講演は「令和時代を生きる子ども・若者の社会参加・参画を考える」のタイトルで鹿児島大学法文学部法経社会学科の金子満准教授が登壇、右肩上がりの社会モデルの終焉を指摘し、価値の修正が必要と説いた。

 また新時代には地域を形作るのは住民であり、分断社会が加速する理由の一つに戦後日本の国民形成の行き詰まりがあり、今後は多世代が相互に学び合い、高め合う環境の構築が求められていると語り、「私たちは、みなちがうものを持っている。皆奇抜でユニークな存在。生まれながらに持った楽器を様々な経験によりいろんな音が出せる。ソロではなくシンフォニーへ」と話した。

 続いて金子准教授の息子で、不登校だった金子陽飛さん(N高校3年)が事例発表。日本初の高校2年生で鹿児島市唐湊(とそ)山の手町内会会長を務め、「町内会長就任・そして実践へ・一町内会活動から見えてきたもの─」を語った。町内を1軒1軒回って住民一人一人から聞き取りを行い、「大変だった」と紹介。それでも前向きなアイデアや頑張ってと声をかけられたり、手ごたえを感じたという。

 「同年代がいなくて活動に興味を持っている人がいたらコラボしたい。町内会長に挑戦する人がでたらうれしいなあ」と語り、「若いのでいろんなことを相談できる場所や人がいるとありがたい」と話した。

 金子准教授と金子さん親子はお互いに「3Gにまみれた町内会(我慢・義務・犠牲)からLET(LOVE・ENJOY・THANKS)へ」と新しい時代の考え方を示した。

 司会を務めた総務企画課の川路恵子地域振興係長は「これからの地域づくりは従来型の大人主導のものではなく、若い世代が地域の一員として主体的に参加・実践できるような環境を整えることが大事。そのためには多様性を認め生かしてつながることが大切」と話した。

 その後、会場ではオンラインも含め、活発な意見交換が行われた。