パネルディスカッションでは喜界島と白保集落住民ら12人が参加し、島のサンゴ礁への想いを熱く語った(動画投稿サイト・ユーチューブより)
隆起サンゴ礁の島、暮らしと共に脈々と受け継ぐ独自の文化を次代に――。喜界町、喜界島サンゴ礁科学研究所、WWFジャパンが2018年から取り組む活動・サンゴの暮らし発見プロジェクトの成果を披露する「サンゴ礁文化フォーラム」(環境省など主催)が20日、喜界町役場ホールであった。参加者らは事例発表やパネルディスカッション、先進地との交流を通して、未来にどう残していくのかを考えた。
プロジェクトは、環境省の事業「サンゴ礁生態系保全行動計画2016―2020」の一環。「地域の暮らしとサンゴ礁生態系のつながりの構築」をテーマに、3カ年計画で文化の掘り起こしや保全、継承などに取り組んできた。
この日は、3カ年の集大成として活動成果を発表。同研・渡邊剛理事長はあいさつで「喜界島は世界的にも珍しい島。どういうものを残すのか一緒に考えたい」と話した。
事例発表では、阿伝サンゴの石垣保存会の武田秀伸さん、荒木盛り上げ隊が暮らしの中で息づくサンゴをスライドで紹介。早町小児童ら11人は、「サンゴ三兄弟」と題する動画で、楽しくサンゴの種類や特長を伝えた。
04年からサンゴ礁の保全に取り組む先進地・沖縄県石垣市の白保集落住民とはオンラインで会場を結び交流。ルール作りや学校への出前授業、定点や水温調査の活動を紹介した白保魚湧く海保全協議会の新里昌央さんは「継承で大事なことは人づくり。人を育てられる人をいかに育てられるかが大事」とアドバイスした。
最後は、金江茂副町長やパネリストに加わり、総勢12人がパネルディスカッションで想いを熱く語り合った。白保集落の活動に携わる筑紫女学園大学の上村真仁さんは「大勢が関わることで当たり前の見方が変わり価値を生み出す」と協働での活動メリットを強調。喜界島、白保集落の双方は「サンゴ礁サミットも開きたい。互いに協働することでより楽しく深くなるのでは」と今後の協力も誓い合った。
渡邊理事長は「サンゴ礁をキーワードにいろいろな人が絡んでいることがわかった。(今後も島全体で)今と将来を話していかなければならない」と総括。会場全員で指を3本と5本立てるサンゴポーズで締めた。
なお会後は、未来を語り合う連絡協議会設立に向けた準備を進めていることなども報告された。