生物多様性にリンクする「地質標本の島」の特徴を学ぶ参加者たち=21日、徳之島町
徳之島、生物多様性育む「地質標本の島」環境省主催
【徳之島】「島の地質のふしぎと世界自然遺産」と銘打った環境省徳之島管理官事務所主催の自然観察ツアーイベントが21日、徳之島町金見崎海岸と天城町ムシロ瀬海岸(いずれも奄美群島国立公園)であった。家族連れなど約40人が参加。変化に富み「地質標本の島」とも称され、生物多様性も育んだ島の地質の成り立ちを学んだ。
講師には、徳之島高校に勤務経験がある元県立博物館学芸主事で理学博士の成尾英仁氏(70)=日置市在住、日本地質学会・日本地震学会会員=を招へい。「景観地(国立公園)を巡り地質について学びながら、世界自然遺産推薦地の島の成り立ちを考えよう」と参加(無料)を募った。
天然記念物オカヤドカリたちの〝聖地(繁殖地)でもおなじみの金見崎海岸。参加者たちは、約1億年前に水深4~5千メートルの海溝に土砂が堆積し、プレートの付加体が下に潜って持ち上げられて土石流のように崩れて混ざったとされる珍しい地質体「メランジュ」の露頭などを観察して解説を受けた。見学合間の沖合では、ザトウクジラと見られるクジラの豪快なブリーチング曲芸の披露もあり、予期せぬプレゼントに歓声が上がった。
美しい海浜環境と変化に富んだ地質が観察できる同地について成尾氏は、「世界自然遺産登録に向けて島の生物多様性を育んでいる土台(地質)も理解をして欲しい」。環境省同事務所の福井俊介管理官も冒頭、自然遺産登録取り組みの概要を説明して「生物や文化の多様性にもつながる〝地質標本の島〟の多様性も知って欲しい」とアピールしていた。