方言の日おはなし会

情緒豊かに集落に古くから伝わる昔話を読み上げる鈴木さん

昔話通じて島口継承を 奄美図書館
鈴木さん朗読、情緒豊かに

 2月18日は「方言の日」――。これに合わせて奄美市名瀬の県立奄美図書館は21日、「方言の日おはなし会」を同研修室で開いた。シマユムタを伝える会・鈴木るり子さんを講師に招き、昔話の朗読を披露。参加者ら75人は、集落に古くから伝わる奄美の物語に聴き入り、情緒豊かに発せられる島口の声に耳を澄ませた。

 奄美独自の方言に関心を高め、保全や伝承への推進・啓発を図ろうと企画。あまみエフエムが照明や音響などの演出面で協力した。

 鈴木さんは「島口の継承活動はいつも手探り。朗読が伝承(方法)の提案、きっかけになれば」と意図を強調。あいさつでは「昔話には教訓や戒めとしての役割もある。子どもに興味を持ってもらうには楽しさや面白さも大事。リズムを味わって聴いてほしい」と話し、朗読を始めた。

 昔話は、『宇検部落郷土誌』や山下欣一・有馬英子共編『久永ナオマツ嫗の昔話』から7編を抜粋。鈴木さんは抑揚の利いた口調で「木つつきと雀」「うばすてやま」「猫と女房」「クッカル」など心を込めて読み上げた。

 参加者らも、聞きなれない方言や言葉に目を丸くしながらも島の豊かな伝承やお伽噺に集中。静かに目を閉じ、ネイティブな発音にも耳を傾けた。

 唄者の福山尚史さんは「集落によってなまりや内容に違いがあり驚いた」と新たな発見に笑顔。「奄美は物語や文化が全て独立した固有種だと感じた。改めて文化の大切さを思い知った」と話した。