「オキナワチドリ」見頃

潮風に揺れるオキナワチドリの花。3月に入り見頃を迎えている(奄美大島北部の群生地で)

群生地で盗掘確認も

 海辺近くの日当たりのよい草地や岩場の割れ目などに生える小型の地生ラン「オキナワチドリ」が見頃を迎えている。草刈り時の配慮など自生の環境を保つ取り組みにより群生地が増えているとの見方がある一方、盗掘の確認もあり関係者を落胆させている。

 『奄美の絶滅危惧植物』(山下弘さん著)によると、オキナワチドリの花期は2~4月で、草丈10センチほどの茎に長さ8~1ミリの淡紅紫色の花を複数咲かせる。環境省の絶滅危惧Ⅱ類、鹿児島県の準絶滅危惧種に登録されている。

 山下さんは「奄美大島内にある群生地では周辺のススキの刈り取りなどで日当たりを良くする取り組みもあり全体では数が増えている」と指摘。ただし南部の群生地で盗掘された跡を確認したという。「現在が花の見頃。各地にある群生地で開花の様子を楽しんでほしい」と山下さん。盗掘が繰り返されることなく自生の環境が保たれることで、春の訪れを告げる小さな花に触れることができる。

 道路の管理作業などによりオキナワチドリ
は刈られることが多い。山下さんは「表土の下には球根(地下塊)が存在する。周辺で草刈りをする場合、開花後で生育に影響のない5月以降から11月にかけて行ってほしい。地上部がなくなったとしても地下に球根があるため再び開花する」と話し、草刈り時期に注意するよう呼び掛ける。

 小型のランは九州南部から沖縄島に分布。花の形を千鳥に見たてたのが名前の由来とされている。