路線バスに野菜が入ったバックを載せる川畑須美子さん=和泊町国頭=
「貨客混載」の実証実験スタート 沖永良部バス企業団
【沖永良部】沖永良部バス企業団は9日、乗合(路線)バスで乗客と一緒に農家が育てた農産物を運ぶ「貨客混載」の実証実験を始めた。高齢農家の輸送負担を減らすことで地域の足を維持する新たな取り組み。実証実験は3月末まで。
次世代モビリティサービス「MaaS」事業の一環。バス企業団と九州経済研究所が連携して行う。システム開発は(株)クエイルが担当する。
この日は、空港線のバス路線を使って農家3人が野菜を運んだ。集荷依頼は、農家が前日までに品目や数量をタブレット端末で登録し、その情報をバス企業団と出荷先のAコープ和泊店で共有する。農家は、バス停またはバス路線上で野菜を載せることができる。
午前9時ごろ、和泊町国頭字の川畑須美子さん(70)がスナップエンドウ4㌔を積載用のバックに詰め、バスに乗せた。
積み荷は、約6㌔先の和泊営業所内にある専用ロッカーに運転手が運び保管。午前10時ごろにAコープ和泊店の従業員が受け取り、店頭に並んだ。
川畑さんは「とても助かる。タブレットの操作も簡単で安心した」と笑顔。
バス企業団の担当者は「買い物に行くためにバスを利用するだけでなく、荷物も運べるようにすることで、お年寄りにやさしいバス事業を進めていきたい」と語った。
バス企業団では、人口減少によるバス利用者の減少や高齢者の移動手段の確保などが課題となっており、今回の実証実験と合わせて高齢者の買い物支援システムの実証実験も行う予定。