大島支庁で自衛防災訓練

逃げ遅れた支庁職員の救助にあたる消防職員=大島支庁自衛消防訓練=

火災想定して 危機管理能力高めて

 突然の火事に備えた自衛消防訓練が10日、県大島支庁(田中完支庁長)の庁舎であった。訓練には大島支庁職員約60人が参加し、実際の火災を想定しての避難訓練や、初期消火訓練などを行った。

 同訓練は、毎年3月にある火災予防週間に合わせて行われている。職員一人ひとりの防災意識や危機管理能力を高めるのが目的。

 訓練では、強い震度の地震が起こり、その後同庁舎2階給湯室から火災が発生したことを想定。職員らの避難が完了したのち、逃げ遅れた2人の職員を30㍍のはしご車に乗った消防隊員が救助した。

 初期消火訓練では、同庁舎から代表4人が訓練に参加。火災発見から初期消火までの手順は▽火災発見▽大きな声で周りに伝える▽119番通報▽初期消火。この際、2㍍以上または天井まで火の手が上がっている場合は迅速に避難し、それ以外の場合には逃げ道を確認したのち初期消火にあたる。

 消火器を扱う手順は以下の4項目。▽ピンを抜く▽ノズルを取る▽栓を抜く▽放射。対象にしっかり近づき消火にあたることが大切という。

 大島地区消防組合消防本部の要田健士消防司令補は、「大島地区は住宅密集地が多く狭い道路が多い。そのため消防車両が入れず鎮火に時間がかかり延焼が発生しやすい」と述べ、火災の早期発見・迅速な通報と行動の大切さを語った。

 田中支庁長は「大島支庁の1番の目的は奄美の人々の命・財産を守ること。地震が起こった場合には想定していた避難ルートが倒壊している恐れもある。普段からあらゆる事態を想定し、自分たちが火災を起こさないのはもちろん、周りで火災が発生した際にも対応できるよう危機管理能力を高めてほしい」と職員に呼びかけた。

 消火器を用いた初期消火訓練に参加した奄美群島広域事務組合奄美振興課企画係の基山美貴主事は「今までは火災をどこか遠くにあるもののように感じていたが、普段から火災を身近なものとしてとらえることが大事だと思った。頭の片隅に常に初期消火訓練の様子をとどめておきたい」と話した。