星空を観光資源に

星空観光について考えた報告会=与論町=

地主神社の前に設置された光害対応型防犯灯=与論町、先月22日午後8時ごろ=

先進地の事例から課題検討
防犯灯改良で夜空見やすく
与論町で事業報告会

 【沖永良部】星空を観光資源にしようと与論町で13日、「星空ツーリズム推進事業報告会」があった。地域住民ら25人が参加し、国内で初めて「星空保護区」に認定された石垣島の事例から今後の課題を検討。現地視察では、光害対応型防犯灯の効果を確認した。

 町は、2019年9月に和歌山大学観光学部(尾久土正己学部長)と連携協定を結び、星空を生かした新しい観光スタイルの確立に向け、星空ガイドの育成や光害対策などに取り組んでいる。

 報告会はゆんぬ体験館で開催。尾久土学部長と一緒に参加した同大学観光学部4年生の澤田幸輝さん(22)が、2018年に「星空保護区」に認定された石垣島の現状と課題について発表した。

 石垣島の観光事業者に昨年聞き取り調査を行ったという澤田さんは「観光客や地元の人も星空保護区を知らないため、直接的な経済効果は見られない。それを期待するよりも環境保全のためと理解すべき」と述べた。保護区に対する理解不足も課題だと指摘し「国際ダークネス協会(IDA)が認定するため書類が全て英語というのも一つの要因。地元の人が積極的に情報収集してほしい」と話した。また、保護区認定にかかる資料については現在翻訳中だとした。

 このほか、島に残る星の文化とその観光活用について発表した。

 光害に対応した改良型防犯灯の現地視察では、地主神社の前に設置された改良型防犯灯の効果を確認。参加者は「まぶしくない」「星空が見やすい」と話していた。

 従来の防犯灯と改良型の色温度を測定した尾久土学部長は「従来の物はブルーライト(青色光)が5500ケルビンほどで非常に明るい。雲が白く見えるのは与論の明かりが上に漏れているから」と説明した。

 改良型防犯灯は、星空保護区の認定基準となっている色温度3000ケルビン以下(電球色に近い)に設定し、上方への光の漏れがない作りになっている。町は、観光施設「サザンクロスセンター」の半径500㍍をモデル地区に指定して約50基を改良型に切り替える予定。現在10基の設置が完了し、星空観察への影響や住民の反応を調査している。