当事者活動の重要性について理解を深めた研修会
奄美地区地域自立支援協議会(寿山一昭会長)は13日、「障がいがある人の地域社会の実現」の題で研修会を開いた。講師は日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構・代表理事の内布智之さん(東京)。統合失調症の発症から回復した経緯を紹介するなかで、当事者活動の重要性が伝えられた。また、島内の障がい者の事例報告もあり、障がいを持ちながら社会生活を送るための工夫や困りごとを共有した。
研修会は本来昨年8月に島内会場で開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響でこの日に延期。ビデオ会議システムを用いて各会場をつなぎ、障がいを持つ当事者や医療・福祉事業所、行政担当者など計72人が参加した。
内布さんは、精神疾患のひとつの統合失調症を20代後半で発病。発病の前触れから発病までの行動やその症状、回復に向かった理由などを時系列で紹介した。現在は服薬を続けながら当事者活動を行い、現在は専門職(精神保健福祉士・相談支援専門員)として支援に関わりながらピアサポーター養成活動を推進しているという。
質疑応答の時間には、「発症時に病気について調べたか」の問いに「(自身の)調子がおかしいと思ったときにテレビでかつての精神分裂病が統合失調症に名称変更したという番組をやっていた。自身の症状と似ていると思いテキストを購入した」と話し、「急きょ入院したときの診断で病名を知ったときは安心と心配が半分だった」と当時の心境を語った。
「周囲にどんな対応をされたらうれしいか」の問いには、「自分らしさを尊重されたとき」として「回復の一番の要因は共感性。悩みを語り合え、共に成長できる仲間が必要」と伝えた。
島内の事例紹介では、奄美市から2人、宇検村から1人の障がい者がそれぞれの立場で自身の経験や現状を語った。現在の困りごととしては「同じ障がいをもつ当事者同士が話せる場所がない」という意見が上がった。