名瀬浜里町自治会、自ら「地区防災計画」策定

策定した計画書を手に泉会長(右)と村野さん

 

 

地域に即した防災行動を

 

 奄美市の名瀬浜里町自治会(泉直樹会長、世帯数約650戸、人口約1600人)は21日、地域コミュニティーで災害時の対応を決めておく「地区防災計画」を策定し、発表した。策定へアドバイザーを務めたNPO法人アユダールの村野剛さんが、同公民会で地区役員らに計画を報告。今後は地区住民同士が情報を共有しながら、より実効性のある地域の防災行動につなげていく。

 計画は県の「住民による避難力支援事業」で、今年度が初実施。同自治会が県のモデル実施地区に選ばれ、奄美市などが作成を支援し、同自治会幹部や班長らで今年7月から策定を進めてきた。

 策定に向けては、共通ルールを住民自らが独自に定めることで、地域に即した自助・共助を強めようと協議した。計画では、地震や津波、風水害などのあらゆる災害を想定。個人や組織の役割や行動が、A4・16㌻の冊子にまとめられた。

 計画には、▽行動指針▽組織編成と役割分担▽避難計画▽訓練計画▽備蓄計画―などの9項目に、近隣病院との災害時の施設利用協定、防災マップや活動タイムライン、家族が共有する「わが家の避難計画」カードなどを記載。村野さんは報告で「自分の身を守ることは(救助に向かう)他人を助けることでもある。しっかり自分の考えをまとめ、一人でも多くの人が守られるよう活用してほしい」と呼び掛けた。

 泉会長は策定を終え「今後もみんなで協力しながら、これまで以上に地区の防災活性化に努めたい」と関係者らに感謝。村野さんは「計画はソフト面から人命を助けるもので、ハード面で考えると数億円の価値に匹敵するもの。(今後は)住民同士が知恵を出し合い、助け合うことでより効果を高めてほしい」と話した。

 冊子は4月に地区内全戸へ配布を予定。わが家の避難計画や自主避難の困難な支援者名簿などの情報を共有しながら、いざという時に備えていく。