【3回戦・大島―樟南】6回表大島一死三塁、4番・田尾が勝ち越しの中越え二塁打を放つ=平和リース
【鹿児島】第148回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第9日は29日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で3回戦4試合があった。
奄美勢は大島が第2シード樟南と対戦。六回に連続長打で逆転し、3―1で接戦をものにした。
第10日は30日、両球場で3回戦4試合がある。奄美勢の対戦は組まれていない。
試合結果は次の通り。
=平和リース=
◇3回戦第1試合
大島
000002100 3
000100000 1
樟南
【大】大野―安田
【樟】西田、鵜狩―長澤
▽三塁打 武田(大)
▽二塁打 竪山、丸田、田尾、安田(大)
31829500126
打安点振球犠盗併失残
3371116104012
(樟)
【評】1点を追いかける大島は六回表、先頭の1番・丸田が左越え二塁打で出塁。3番・武田の右中間三塁打、4番・田尾の中越え二塁打で2点を返し、逆転に成功した。七回表は一死満塁から暴投で貴重な追加点を挙げた。大島の2年生左腕・大野は6四球、7安打を浴び、七回以外は毎回走者を許す苦しい投球が続いたが、11奪三振1失点の力投で勝利に貢献した。
大島は冬場に課題として掲げて取り組んだ成果を随所に発揮し、第2シード樟南に競り勝った。
2年生左腕・大野稼頭央の力投が何よりの原動力だった。走者を出さなかったのは七回のみ。六回までに6四球。毎回のようにピンチを背負い、長時間のマウンドを強いられたが、「今できることへの集中」(塗木哲哉監督)が最後まで途切れなかった。
要所では130台後半の力強い直球が決まり、三振や凡打で切り抜けた。苦しいマウンドだったが「最後まで周りを信じて、強気で投げられた」と大野。11奪三振1失点、158球の力投は、樟南の大会屈指の好左腕・西田に勝るとも劣らない力強さがあった。
打線は六回に3本の長打で2点を奪った。昨秋は鹿屋中央の130台後半の直球に手も足も出ず完敗。そのレベルの速球を打てるために練習してきた。
冬場の紅白戦では大学で野球を続ける卒業生の左腕・藤﨑と前主将・藤本のバッテリーが投げてくれた。樟南バッテリーも強力だが「先輩たちの方が力は上」と自信を持って打席に立てたと武田涼雅は言う。外角低めの直球を振り負けず、右中間を破る同点の三塁打を放った。
バントを使わず「打ってつなぐ」(塗木監督)野球を樟南相手にも貫いた。五回までに3併殺の拙攻もあったが、「ボールをしっかり見る」(塗木監督)ことで西田に81球投げさせた。ボールへの慣れと見極めができたことは、六、七回の逆転劇の布石になった。
現チームは「潜在力はあるが自信が持てていなかった」と塗木監督。まだまだミスも多いが「ミスを続けず、チームでカバーできるようになった。チームとしてのステージが上がった」手ごたえを感じられた一戦だった。
(政純一郎)