栽培技術向上のための研修会と、「かけろま島マンゴー」のブランド化に向けた情報発信(いずれも提供写真)
県は2021年度特定離島ふるさとおこし推進事業の採択状況を発表したが、瀬戸内町の加計呂麻島で産地づくりが進められているマンゴー生産用のビニールハウスも採択された。同島では流通のハンデを克服できる収益性の高さからマンゴー栽培を希望する農家が増えており、県の事業を活用し町が事業主体となって施設整備、農家に貸し出している。
同事業は、県内の離島の中でも特に自然条件等が厳しい小規模離島および離島の属島を対象に産業の振興、生活基盤の整備、ソフト対策など住民の日常生活に密着したきめ細かな各種事業を実施することで各島の活性化を図るのが目的。7市町村、19島が対象地域で、奄美では加計呂麻、請、与路の3島が含まれている。
離島振興課によると、事業費は9億円で、21年度採択件数は70件。県単事業になり、国庫補助事業として採択されない事業等が採択基準。瀬戸内町の3島で採択された事業は、いずれも新規で▽加計呂麻島・農道整備=須子茂地区農道整備事業(未舗装農道のコンクリート舗装工)▽加計呂麻島・共同利用農業施設整備=諸鈍・生間地区農業施設整備事業(マンゴー生産用ビニールハウス4棟)▽請島・漁港施設整備=請島港舗装整備事業(貨物の荷捌き地の舗装)▽与路島・飲用水施設整備=与路地区飲用水施設整備事業(管理道路舗装)。
瀬戸内町農林課によると、県の特定離島事業を活用してのマンゴー生産用施設整備は、10年度から進められている。加計呂麻島では諸鈍地区などで庭先栽培によりマンゴーが栽培されてきたこともあり、「本格的に生産に取り組みたい」との意欲があるという。町はこうした農家を対象とした栽培研修会を開催し技術支援を行うとともに、施設整備で産地づくりを後押し。同課は「奄美大島側では3戸以上の農家で生産組合を立ち上げ、補助事業を活用し施設整備が進められている。加計呂麻島は人口が少ないため生産組合の発足が難しく、町が事業主体となり施設を整備し、農家に貸し出す方法をとっている」と説明。施設栽培のマンゴーは細かな管理作業が欠かせないが、それほど労力を伴わないため高齢の農家でも継続できている。
現在の栽培農家は9戸、面積62・3㌃、生産量は2160㌔㌘。町は加計呂麻産(「かけろま島マンゴー」)のブランド化を見据えて、施設整備や技術支援に取り組んでおり、完熟品を高値で販売する高級果物の生産安定で農家の収益向上を目指している。