目撃情報協力を呼び掛けるマグネット
環境省沖縄奄美自然環境事務所は1日、2021年度から新たな防除実施計画「根絶確認及び防除完了に向けた奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画」に移行すると発表した。当初予定より2年前倒しでのスタート。21年4月1日から5年間の同計画により、根絶確認と防除完了を目指す。
奄美大島では1979年、ハブやネズミの駆除を目的にマングースが奄美市名瀬に約30匹放され、急速に増加拡大。2000年には約1万匹と推測された。アマミノクロウサギなどの希少種等を捕食し、生態系に深刻な影響を及ぼした。
同省では00年度に奄美大島でのマングース駆除事業を開始。05年度からは「奄美マングースバスターズ」を結成し、外来生物法に基づく防除事業を実施。
13年度からは22年度までの10年計画(第2期奄美大島におけるフイリマングース防除実施計画)に基づいて、同島からのマングース完全排除を目指して防除を実施してきた。
同省事業での捕獲はこれまでに2万匹を超え、18年4月を最後に、ゼロが3年近く継続している。このため2年前倒しで、根絶確認および防除完了に向けた新たな防除実施計画に進むこととなった。
同計画は、21年4月1日から26年3月末までの5年間。マングースの根絶を慎重に確認するために、わな等によるモニタリングを継続的に実施するとともに、根絶確率算出モデルによる科学的評価を行う。その上で、有識者等による評価を受け、遅くとも25年度末までに根絶宣言をするのが目標。わなが過密なエリアからは徐々に減らしていく。そして、過去に得られたデータとこれから蓄積するデータを根絶確率算出モデルに組み込み、評価する。
島民からのマングース目撃情報収集も強化する。このために、ポスターやチラシのほか、奄美大島内の全ての小中学生・高校生にマグネットを配布した。
また、すべての防除資材を撤去するとともに、マングースの再侵入の防止体制の構築に取り組み、マングースによる在来生態系への影響が抑えられている「防除完了」状態を根絶確認後も維持する。
奄美群島国立公園管理事務所の阿部慎太郎所長は「新しいステップに入り、根絶を確かなものとしたい。島民みんなで根絶を実現したいと思っているので、情報協力をぜひともお願いしたい」と述べた。