奄美への思いと、登場人物のプロフィルに迫りながらバトンをつないでいく「奄美のためにできること。新型コロナウイルスと私は闘う!」の第20回。元大関小錦のKONISHIKIさんの後編。その巨体は、昨年末東京・御徒町のトレーニングジムで格闘家に転じた選手に寄り添うようにあった。(東京支局・高田賢一)
大みそかにライジンに出場したスダリオ剛選手のトレーニングを見守った。
「大相撲出身だから、もちろん応援しますよ。宮畑会長のジムでもあるしね。快勝して僕の誕生日をリング上から祝ってくれたのはうれしかったよ」
土俵の多いことでも知られる島は、その目にどう映っていたのか。
「土俵たくさんあったね。相撲が島の文化として残っているのはとてもいいこと。子どもたちに稽古をしてみたいよ。島を盛り上げるため、強い力士が出てほしい。余裕あったら、奄美と徳之島で力士育てたい。子ども専用、小学校から高校生までの力士をね。プロ(大相撲)でも通用するように。本場所?できる限り見てます。奄美出身の力士はみな頑張っているが、特に注目しているのは武蔵川部屋の徳之武蔵(幕下)だね。190センチと体も大きいし、全国2位となった実績もあり、まだまだ若い(平成12年生まれ)から、楽しみな力士だよ」
幼い頃から成績優秀、スポーツも万能だったKONISHIKIさん。島の子どもたちは、どう育ってほしいのか。
「そうね。島の子どもたちは、余計なことをわざわざ考えることはない。あの豊かな環境で育っていくことが大切。日本人は一つの稽古事、特にスポーツに多くの時間をかけ過ぎだ。自分の知らない才能を伸ばしていくチャンスを逃しているような気がする。いろんなスポーツを体験すべき。相撲を特別視するわけじゃないけれど、僕自身フットボールやバスケットボールなど多くを経た。相撲の四股などは、それ自体が他のスポーツにも通じる。毎日30分でいいので、四股や関連する体操をすることを薦めたいね。そうすれば、どのスポーツにも必要な強い体と精神力が育ってくるはずだから」
コロナ禍の2021年、新たな挑戦は。また島の世界自然遺産登録には、どんな印象を持っているのか。
「チャレンジ?何もないよ(笑い)。今まで通りの生活になることかな。毎年もらった仕事をこなしていくこと。それと自分の体を元気にさせてもっと健康的になること。どこまで痩せられるかも、チャレンジかな(笑い)。世界自然遺産登録は、とてもいいことだけれど、島の文化を次の世代にきちんとつないでいくことが大きな課題じゃないかな。着物の文化にしても、自然のものだけを使って染めている。昔の雰囲気を残している建物もある。そうしたものを含めた島の人たちの生き方を大切にしてほしい。世界中から来た人に、奄美にはこういう文化がありますよと納得できるものにしてもらいたいですね」
次回登場するのは、プロレス界のレジェンド、藤波辰爾さん。
未来を担う子どもたちへの追加アドバイスとして「よく食べ、よく運動して、あと親の手伝いをしなさい」と語るKONISHIKIさんからバトンを受ける。