【鹿児島】第148回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第13日は3日、鹿児島市の平和リース球場で準決勝2試合があった。
奄美勢の大島は鹿児島実と対戦。0―4の完封負けで決勝進出、九州大会出場を逃した。鹿実と鹿屋中央が九州大会(4月24日―・大分)出場を決めた。
最終日は4日、同球場で3位決定戦と決勝がある。大島は3位決定戦で枕崎と対戦する。
【評】大島は初回に併殺崩れ、二、五回に適時打を浴び、前半で3点のビハインドだった。左腕エース大野が力投を続け、1イニング1失点以内で抑えていたが、七回にも暴投で1点を失った。打線は鹿児島実の左腕・赤嵜の前に八回まで散発2安打に抑えられ、三塁も踏めなかった。九回表二死から敵失で出塁。5番・瀧、6番・武田が連打で続いて満塁と、初めてのビッグチャンスを作ったが、7番・大野が三振で倒れ、本塁に届かなかった。
【準決勝・鹿児島実―大島】2回裏鹿実一死一塁、9番・藤田を投ゴロ併殺に打ち取る。遊撃手・武田=平和リース
大島初の決勝進出への挑戦は鹿児島実の気迫に阻まれた。塗木哲哉監督は「いろんなことがうまくマッチングしなかった。鹿実のペースのままで試合が進んでしまった」と振り返った。
打線が鹿実の左腕・赤嵜の前に4安打に封じられた。右打者の膝元のスライダーを軸にした投球を最後まで打ち崩せなかった。「変化球でもきっちりストライクをとってくるので、狙い球が絞り切れなかった」と同じ2年生左腕の大野稼頭央=写真=。球速は大野が勝っていたが、変化球のキレと「マウンドでの落ち着き」を感じた。3回戦の樟南戦で好左腕・西田を攻略したように、点は取れなくても前半で球数を投げさせて後半勝負に持ち込みたかったが「ボールを見極め切れず、ようやくとらえた時にはもう九回になっていた」(塗木監督)。
エース大野は鹿実打線に9安打された。うち7本は2ストライク追い込んでから打たれている。「鹿実打線は甘いボールを見逃さなかった」と大野。二、五回の適時打は1ボール2ストライクと投手有利のカウントだったが「勝負を焦ってしまった」。追い込んでからの決め球をどう磨いていくか、勝負を急がない配球や、逆に少ない球数で打たせて取る投球をどう身に着けていくかなどが、今後の課題になった。
「鹿実の向かってくる気迫はさすが伝統校だと感じた」と塗木監督。ここまで攻守が今一つかみ合っていなかった印象の鹿実だったが、九州大会、決勝進出がかかった大一番で負けん気の強さを前面に押し出してきた。「夏はもっとその気持ちが強くなる」(塗木監督)のが伝統校だ。それらを上回って甲子園に行くために、大島がやるべきことは、まだまだ多いと痛感させられた。(政純一郎)