水彩画で奄美の原風景 23日から企画展

一村から学びヒカンザクラをモチーフに描いた作品を手に永瀬さん

「独特、いろんな形学んだ」
一村オマージュ、永瀬さん

 2012年に奄美大島に移住し9年目を迎える透明水彩画家・永瀬哲治さん(51)ら奄美在住のアーティスト3人による初の企画展「KA/CHO/FU/GETSU・奄美の花鳥風月と人々の暮らし~田中一村へのオマージュ」が23日から、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館で始まる。永瀬さんは「島には独特な動植物が多く、ガジュマルやヒカゲヘゴ、奄美からはいろんな形を学べる」と面白がる。

 永瀬さんは1969年、島根県生まれ。23歳で画家を目指して独立し、26歳でパリに渡り独学でデッサンを習得。帰国後は、全国47都道府県を旅し、画法は水墨画、水彩画へと移りその奥深さにのめり込んだ。奄美大島へは「見渡す限りのサンゴ礁が描きたい」と渡り、移住後は自身の「構成力」を高めようと、一村作品からインスピレーションを得ながら奄美の自然や植物を描き、画力を磨いてきた。

 永瀬さんは「一村の時代から数十年、作品に描かれたモチーフ一つとっても今では見つからないものも多く、景色も大きく変わった」。展示作品へは「今回描いたものは全て島にあるもの。画家には手段がある。せめて絵として原風景や感動を残したかった」とも話す。

 作品展は9年間の一区切りで、「守破離」をテーマに3段階のオマージュ作品計15点などを用意。一村作品で使用した素材を自らが構成し直したもの、独自に島で見つけた素材で新たに描いたものなど、作品に変化をつけた。

 企画展には、同じ奄美在住9年目の画家・青木薫さん、現代アート・小田島文顕さんの3人がコラボし、三者三様の「奄美の自然と人々の営み」を表現。永瀬さんは「外から見たいつもと違う奄美。独特な組み合わせを楽しんで」と呼び掛けている。

 日程は同日から5月14日までで、午前9時~午後6時(最終日は午後4時)。入場無料となっている。