スモモの生産安定に向けた管理作業では摘果の徹底が欠かせない時期を迎えている(大和村の園で)
記録的不作が続いたスモモは今期、豊作が期待されている。生産が盛んな大和村の園では樹木に青々とした果実が着いているが、4月からの管理作業で欠かせないのが果実を摘み取り除去する摘果=てっか=。高値で取り引きできる大玉の果実の生産につながるだけでなく、木の負担が減ることから毎年の生産安定に役立つ。関係機関は5月下旬の収穫直前(仕上げ時期)までの徹底を呼び掛ける。
果実の生産量をまず左右するのが花の状態。今期のスモモは枝の花芽が多く、一斉に開花した満開時期も2月中旬と通常通りとなった。昨年12月から1月にかけて、休眠打破をもたらす寒や低温がしっかりと確保されたため。
その後も生理落果が3月いっぱいと順調に生育。現在は大人の親指ほどの大きさの果実が枝に着いている。JAあまみ大島事業本部果樹技術指導員の大山綱治さんは「4月に入り摘果時期を迎えた。一日でも多くしっかりと摘果作業に取り組んでほしい」と指摘する。昨年、一昨年と収量が大幅に減少し、農家のなかには「せっかく着いた果実。摘果するのはもったいない」という思いもある。大山さんは「収穫できない年が続いた中で、果実をたくさん着けた状態で収穫すると木に負担が掛かってしまう。樹勢への影響で来年以降の生産安定につながらない」と語る。
摘果の目安として挙げるのが「1結果枝に1個」の果実を残す。複数の果実の中で、「一番大きく下向きの果実」を残すのがポイント。「虫の食害、傷があるものは当然摘果しなければならないが、害虫被害に遭いやすい上向きの果実も取り除いた方がいい」(大山さん)。
こうした摘果を怠った場合、果実の肥大が止まり、2Lや3Lクラスの果実が収穫できない。スモモの販売では「一階級でも大きくした方が値段はいい」だけに、生産の安定とともに収益を上げる取り組みが求められそうだ。
大和村のスモモ生産量は、2018年の約65㌧から19年は約16㌧、20年は約3㌧にまで落ち込んだ。今期は18年並みの量が期待されている。