65歳以上の高齢者を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種が県内でいち早く、大和村で始まったが、奄美群島の他市町村の接種開始は5月以降になる見込みだ。大型連休以降の接種開始を予定している自治体も多いなか、与論町が5月1日から、奄美市、龍郷町も3日からと、連休期間中も接種を実施する自治体もある。ただ、5月以降の供給は不確定な面も多く、各自治体ではワクチン不足を懸念、対象者をさらに限定して実施するなど対応に苦慮している。
大和村を除く各自治体の接種開始時期は、与論町が5月1日、奄美市と龍郷町が3日、伊仙町が8日、宇検村と瀬戸内町、和泊町、知名町は10日、徳之島町と天城町は17日の開始予定。このほか、喜界町は連休明けを予定。多くの自治体は連休明けに開始する。
連休期間中も接種を実施することにした与論町は「できるだけ早く、ワクチン接種をすることで、高齢者の感染リスクを抑えたい。休日も医療関係者に協力をお願いすることにした」としている。対象者が最も多い、奄美市と龍郷町も大島郡医師会や市内の医療機関などの協力を受け、休日返上で実施する。
県は今月末までに県内の各市町村へ最低でも1箱(975回分)のワクチンを配分することにしており、各自治体ともワクチン到着に合わせて接種を開始する予定。ただ、各自治体の対象となる高齢者数は宇検村の約700人を除けば、約2000人~約1万3000人。宇検村でも、2回接種するには1箱では足りない状況だ。
5月10日から開始予定の和泊、知名両町は今月12日夜、沖永良部島の医療機関の関係者らと接種時期や進め方などについて意見交換する検討会を開き、80歳以上の高齢者と高齢者施設の入所者および施設従事者に対象者を絞り、接種をスタートすることを決めた。
両町の65歳以上の対象者は、和泊約2400人、知名約2200人。各1箱のワクチンでは到底足りない状況で、今後の供給についても確定した情報がないことなどから、重症化リスクなどを勘案、高齢者の年齢を限定した。両町は今後、自治体の垣根を超え、連携してワクチン接種業務を推進することにしている。
一方、天城町は集団接種会場となる「あまぎユイの里医療センター」で16日まで集団検診の予定が入っているため17日から実施予定。同町の担当者は「町内で集団接種できる施設はほかにない」と説明した。
接種方法は人口や地域の医療体制などによって集団接種と個別接種に分かれた。奄美市と龍郷町、喜界町、大和村は集団接種会場への送迎バスを運行することにしており、「住民から要望があれば検討したい」などとする町も複数あった。