「島嶼文明は世界自然遺産に匹敵」

 

鹿大島嶼研高宮センター長 30年近くの研究まとめる

鹿児島大学国際島嶼研究センターの高宮広土センター長はこのほど、30年近くに及ぶ奄美・沖縄エリアの島嶼研究を書籍『奇跡の島々の先史学 琉球列島先史・原始時代の島嶼文明』=写真=((有)ボーダーインク発行)にまとめた。高宮センター長は同書で、奄美・沖縄諸島で育まれた島嶼文明の特徴とその希少性を明らかにし、「島嶼文明は多くの奇跡の積み重なり」であり、同文明を「世界自然遺産に匹敵する」と評価している。

同書によると、奄美・沖縄諸島の島嶼文明は以下の六つの点で珍しいという。①旧石器時代に人類が存在していた島は世界で10~20カ所しかないといわれているが、そのうち8島は奄美・琉球諸島に属していた②旧石器時代に狩猟採集民が存在した③それらが数千年にわたって続いた④狩猟採集から農耕への変遷があった⑤バンド社会(小規模の集団で遊牧生活をする社会)から国を形成した唯一の島⑥ヒトと自然が調和していた。「これら6点が同時に当てはまるのは世界で奄美・沖縄諸島以外になく、島としてはとても珍しい」と高宮センター長は話した。

同書を刊行した目的は「奄美の人々に知を還元するため」。一般の人にぜひ読んでもらいたいと語る。本は300ページほどで2200円(税別)。アマゾンや出版元のボーダーインクから購入できる。