再整備され安全祈願祭があった「花徳闘牛場」=2日夕、徳之島町花徳
【徳之島】徳之島町が、町北部地区の振興、闘牛文化の継承支援に再整備した「花徳闘牛場」(同町花徳)の安全祈願祭が2日あった。無料の「花徳敬老杯闘牛大会」など〝牛なくみ(慰み)〟や交流けいこ場に利用されてきたが、地元の闘牛愛好者たちは再整備を機に、世界自然遺産登録に絡めた「観光闘牛」への活用も進める。
町地域営業課によると、総事業費は2020年度県地域振興事業(50%補助)を絡めた4650万円。観客席をコンクリート製(3段)に整備、闘牛場リングの鉄柵は牛へのダメージの軽減や人(勢子)の安全面にも配慮して直径18㍍から22㍍に拡張。夜間照明と、往来の観光客など一般も利用できる公衆トイレも設置した。
安全祈願祭には愛好者組織の花徳闘牛組合(保岡盛寿組合長、約30人)や花徳・轟木4集落の区長、町北部地区の町議など関係者約150人が参加。高岡秀規町長はあいさつで「近くIUCN(国際自然保護連合)の勧告もある。奄美群島は交流人口増に取り組んでいるが、闘牛の担い手や飼養頭数を減らさないことが、観光面などにより多くの可能性を生むと思う」などと期待を寄せた。
再整備を働きかけた1人、花徳闘牛組合の保岡組合長(59)は「花徳地区は、島内でも闘牛愛好者、飼養頭数(約35頭)ともに多い。青年団活動など若者の団結心にも闘牛がある。牛好きのお年寄りたちへの敬老闘牛と併せて、けいこ程度の観光闘牛の開催にも協力していきたい」と話した。
安全祈願の神事に続き、高岡町長ら代表が牛の草刈りがまでテープカット。花徳小児童ら緑の少年団29人がヒカンザクラの苗40本を敷地内に記念植樹。このあと、地元で育成中の若手牛1組によるこけら落としのエキシビションマッチで楽しませた。今月末には、無料開放の〝牛なくさみ〟大会の開催を検討するという。