気軽な相談を呼び掛ける間弓さん(左)と森さん(2日、龍郷町移住ガイドセンター住もうディ!)
龍郷町の空き家・移住定住に関する相談を受け付ける「移住ガイドセンター住もうディ!」がこのほど、開設から3カ月を迎えた。担当者によると、開設以来、島内外から相談や問い合わせが63件寄せられたという。うち4組は町内の空き家に移住が決まった。一方で、空き家所有者は6件に留まり、空き家を探す相談が過半数を占める。担当者は「空き家の悩み全般を気軽に相談してもらえたら」と呼び掛ける。
相談業務を担当するのは、同町地域おこし協力隊の間弓裕次郎さんと、森まゆみさん。間弓さんは、前職で不動産会社に勤務した経験を活用。森さんは、子育て世代の移住者として、教育や医療環境を含めた相談にも対応する。
現在同センターが運営する空き家バンクに登録されている物件は、土地3件(秋名、幾里集落)、改修が必要な空き家1件(円集落)の計4件。常に20件の空き家を紹介できる状態を目指しているが、課題は残る。
町が2018年度に実施した空き家実態調査によると、町内全域の空き家件数は242件。空き家の登録がスムーズに進まない背景には「所有者が分からない」「荷物が多い」「リフォームが必要」「親戚に貸したい」「所有者が空き家バンクの存在を知らない」などの要因がある。
しかし空き家を放置すると、▽劣化が進み、倒壊する恐れがある▽ネコやネズミなどの住処になる▽固定資産税を払い続けなければならない―などのデメリットが生じることも無視できない。
居住希望者のなかには「リフォームや荷物対処の必要があっても、自分たちで改修し住みたい」人も少なくないという。事前に期間を提示し、期間限定で貸し出す方法もある。
また、町は今年4月に「空き家等対策協議会」を発足。空き家バンクに登録した物件などを対象に、リフォーム費用を助成する事業の開設も進めている。
大型連休明けには、空き家実態調査のデータ更新に乗り出す。毎年の更新を目指し、各集落住民と連携しながら所有者と交渉。同センターでは、所有者や地域住民の意向と、居住希望者の要望をすり合わせて空き家の活用・集落の活性化を図る。
「龍郷町の荒波地区は特に少子高齢化が目立つ。数十年先を見据え、魅力ある地域を残すため、いまある課題を集落の方々が主体となり考えることが大切」と森さん。その上で「気になることがあれば、ささいなことでも相談してもらえたら」と協力隊の2人は口をそろえた。
同センターの問い合わせは電話0997・53・8843まで(水・木曜日定休)。町の公式ホームページにも詳細が記載されている。