イラスト原画描く大司さん

島のイシカワガエルをイメージして描いた作品を抱える大司さん

全国初の学校給食歴史館ある職場勤務
「見せるために描き始めたのは大学生から」

 2月28日から4月11日まで瀬戸内町古仁屋の瀬戸内酒販(吉永卓也代表)で行われた加計呂麻島の瀬武と龍郷町の秋名で育った、大司花月さん(25)のイラスト原画展。当初は4日までだったが、1週間延期された。人気を集めたイラスト原画展の作者・大司さんを訪ねた。

 大司さんは、公益財団法人埼玉県学校給食会食材課業務係主事という肩書を持つサラリーマン。男女平等が当たり前の職場では、受付業務やお茶の用意も男性が普通に行っている。

 同敷地内には全国で初めてという学校給食歴史館が建ち、学校給食発祥の地記念レプリカ、年代別給食サンプル、学校給食用食器、ライブラリーコーナー、地産地消コーナーなど、入館料無料で見学できる。

 昨年4月から、同法人で働く大司さんは、学校の栄養士から届く献立見積書を確認して、メーカーから埼玉県の伝統野菜(しゃくし菜やくわいなど)や、色々な商品を購入、食材を卸す栄養士への橋渡し役をこなしている。

 名瀬で生まれ、博多、加計呂麻島の瀬武、龍郷・秋名で育ち、龍北中・大島高校を経て、宮崎大学教育文化部へ。さらに同大学の大学院教育学研究科で修士取得、日本語教育支援を学んだ。

 この研究は、留学生や日本語を学ぶ外国人に日本語で支援を行うもので「英語は必要ないので、やさしい日本語で話すんですよ」と教えてくれた。教育に携わっていたことから教職にと思いきや、「同じ学校に携わる仕事で、面白そうと宮崎から埼玉までやってきて、ここの門をたたきました」。昨年のことだ。

 同法人では、大司さんが趣味としてイラストを描くことも認めており、田島和彦常務理事事務局長は「いつ、画家になりますって言わないか心配している。こんなに素直な子はいない」とかわいい部下に目を細める。

 大司さんは、幼い頃から絵が好きで描いていたが、「人に見せるために描いたのは大学生になってから」と話す。つけペンを使って線画を描く。大学院に入った頃、2、3カ月島に戻り、「頭の中からあふれ出てきたものを描いた。蓄積されていたかもしれない。ちょっと、しんどかったけど、楽しかった。学校を休んでいた罪悪感もあったかも…」。

 今回は昨年の暮れに描いた作品があり、「島の中で一番よく描けたなと思っています」と島のイシカワガエルをイメージした作品を運んできてくれた。大司さんは笑顔で作品を抱えた。

 仕事で出張や車での移動など営業して回ることも多いとのことで、「楽しく仕事もさせていただいています。みんな優しくて、今日の取材も会議室の使用もOKしてくれました、新米の私に。ありがたいです」と恐縮していた。大司さんの“二刀流”はこれからも続く。母校・大島高校120周年記念のお祝いイラストも掲載する予定。