昔懐かしい黒糖焼酎「原酒」量り売りも(第1回マルシカ祭)=1日、伊仙町阿三
地域おこしに地元事業所も協賛
【徳之島】伊仙町阿三にある奄美黒糖焼酎の酒造元の一つ、㈲松永酒造場(松永晶子代表取締役)主催の地域おこしイベント「マルシカ祭」が1~3日、同酒造場であった。半世紀前までの独自ブランド「まる鹿」を復活させた「マルシカ」と〝幻の原酒〟との昔ながらの量り売りも再現。世代を超えて関心を集めた。
同酒造場は昨年12月、創業地(1952年・同町鹿浦)の地名を冠して半世紀前まで愛飲された「まる鹿」の名を復活させた「マルシカ」をはじめ、在来種ミカンなどを組み合わせたリキュール類との計3商品を発売。共同瓶詰め出荷とは別に、女性杜氏3代目の松永さん(51)が「温故知新。若い女性にも好まれる商品に」と思いを込めた。
初企画のマルシカ祭は、奄美黒糖焼酎の日(5月9、10日)にも向けて、「阿三地区の地域おこしの一助にしたい」と一念発起した。
昔なつかしい量り売り企画のメインは「マルシカ」(アルコール度数25%)と、通常は市販されない「原酒」(同40%)の2種類を用意した。同地域での焼酎の量り売りは、奄美群島の日本復帰(1953年12月)後の55年ごろまで続いたとみられ、じつに60数年ぶりの再現に。
酒造場には幅広い世代の延べ約百人がさまざまなボトルを手に来場。その7割以上のお目当ては通常は味わう機会のない「原酒」。持参ボトルの洗浄装置、ステンレス貯蔵タンクのバルブからの直接の量り売り、パンチの効いた深い味わい―に時代を超えて「新鮮な感覚を覚えた」など感想も。
第1回協賛呼び掛けに、近くの「おかし工房ショコラ」と「徳之島ゲストハウスみち」の2事業所が呼応。マルシカを使った大人の味のケーキなど焼き菓子や、こだわりのカレーなどのブースで盛り上げた。
松永さんは量り売りの試みに「資源を無駄にしないよう、島内に今ある瓶でリサイクルできたら理想的」。次回に向けては「思い付きでぱっと実行したが、協賛の輪を毎年少しずつ広げ、地域から新たな特産品が生まれてくれればと思う」と話した。