有志で徳三宝の墓参り

徳三宝が開いた道場(研道館)跡で説明する、田辺鶴遊さん(左)

徳三宝をしのび墓参りに集まった人たち

題材にした 新作に取り組む講談師と共に

 【東京】東京大空襲で非業の死を遂げた、徳之島出身の柔道家・徳三宝の墓参りがこのほど、奄美群島出身者約20人の有志によって行われた。また、徳三宝を題材にした新作講談に取り組む、講談師の田辺鶴遊(かくゆう)さんも同行し故人をしのんでいた。
 
 「強力無双」「講道館四天王」として数多くの武勇伝を残した、三宝(本名・三寶=みたか)の墓参りがあったのは江戸川区にある、目黄不動尊の最勝寺(平井1―25―32)。JRの平井駅で集合した一行は、地元に居を構える鶴遊さんの案内で三宝が開いた道場跡地へ。

 師匠だった講談師、故田辺一鶴氏の自宅前が道場跡地で、師匠が親族と交流があったことから鶴遊さんも関心を持ったという。「57年の劇的な人生は、講談の題材に最適です。今までなかったのが不思議」と鶴遊さんが語る三宝は、亀津小学校入学当時から体も大きく腕力もあることから、友人から「サイゴウ」と呼ばれた。19歳の時に上京、東京高等師範体育科へ進学し、講道館へ入門。後年、道場(研道館)を開き子どもたちに教えていた。だが、1945(昭和20)年3月10日、東京大空襲で川へ飛び込んだ人を救う中、自らも亡くなったとされる。

 参加者たちは、僧侶としても活動する甘味けんじさん(僧名・伊集院延弘=沖永良部島出身)の読経の中、手を合わせ、焼香した。世話人らは「徳三宝の応援歌を歌った古賀(稔彦)さんの訃報もあり、集まれてよかった」(重久正光さん)、「中止も考えたがコロナ禍の折、無事に終えられたことにほっとしている」(藤井壮望さん)と有志での開催を振り返っていた。ほかに龍一文さん、西川純也さん、西見健吉さんらが参加した。