Zoomで31団体が参加した奄美大島介護事業所協議会の研修会
奄美大島介護事業所協議会(盛谷一郎会長)は22日、地域共生社会の実現に向け、制度や分野、支え手や受け手の枠を超えて支援体制を強化する「重層的支援体制整備事業」を学ぶ研修会を奄美市名瀬の奄美病院研修センターで開いた。会員や介護施設関係者、行政など約31団体が参加し、ウェブ会議システム「Zoom」で実施。参加者らは講師の話に耳を傾け、制度の狭間で孤立した人が社会とのつながりを取り戻せるような包括的な支援体制の構築に向けて、制度の考え方や実践の方法を学んだ。
地域共生社会は、政府が掲げる「ニッポン1億総活躍プラン」の一環で、同整備事業は今年4月1日から施行。子ども、高齢、障がい、生活困窮者などの他、制度の狭間で孤立する人を把握し、伴走支援など包括的なアプローチで問題を解消したり、社会とのつながりを取り戻すことで困りごとを小さくしていくもの。従来の縦割りや複雑化するニーズの受け皿として機能させたいとの狙いがあり、体制整備に向けては「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくり」を一体で取り組むことなどを想定している。
講師は、厚生労働省社会・援護局地域共生社会推進室の室長補佐・清水修さんが担当。講話で清水さんは健康と病気、健常と障がいなど二分法で分ける社会保障制度の課題を指摘した上で、「制度の縦割りでは複雑化するニーズに応えにくくなっている。包括的な支援体制の整備が必要だ」など訴えた。
「断らない相談支援」では属性や年齢を問わずに相談を受け止め、関係機関との連携を進める。「参加支援」は地域社会資源のマッチングを促す。「地域づくり」は人と人、学習など多様な形の交流機会を増やす。支援の困難な人には、関連機関や地域住民のネットワークなどを活用することでニーズを抱える相談者を見つける、などアドバイスした。
清水さんは、整備に取り組む自治体などの先進事例も紹介。「活動同士が重なることでイノベーションは生まれる。まずは人が集まり、見直すところからはじめてみてはどうか」など呼び掛けた。
盛谷会長は「奄美でもようやく少しずつ走り出しそう。課題も出てくるだろうが、丁寧に対応できるような地域づくりに取り組んでいきたい」と話した。